企業法務コラム

昭和電工、中国に生産移管

ハイブリッド車モーターの磁石合金で4割の国内シェアを持つ昭和電工は、7月から銅合金の生産を中国に一部移管する。同合金には、ネオジムやジプロシウムといったレアアースが不可欠だが、中国政府が輸出制限をしているため、確保が困難になっている。このため、技術流出のリスクを冒しても中国で生産をせざるを得ない。
中国は環境問題を理由に、レアアースの輸出額に上限を設けている。しかし実際には、この影響でレアアースを確保できない企業は、先端技術の流出のリスクはあっても、中国に生産移管をする必要に迫られている。
政府、業界とも、この問題に対する対処が十分でなかったきらいがある。この問題は東北震災におけるサプライチェーンの断絶にも共通している。在庫を圧縮し、経営効率を高めたのは良いが、他に代替性のない部品、原料についても仕入れ在庫を圧縮し、その結果製造に支障をきたした。中国版新幹線の国際特許申請問題もあるように、技術流出阻止のための、国家戦略及び企業戦略の見直しが必要ではないか。

※参考
2011年7月1日 日本経済新聞 朝刊
「環境車向け高機能合金 昭和電工中国に生産移管 レアアース輸出規制の強化で」

2011年07月08日
法律事務所ホームワン