企業法務コラム

バーゼル委員会、世界的金融機関に自己資本上乗せ要請

主要国の金融監督当局でつくるバーゼル銀行監督委員会は、6月25日、国際的に事業展開する大手金融機関に対し、「中核的自己資本(コアティア1)」の比率をさらに1.0~2.5%上乗せするよう求めることで合意したと発表した。日本では三菱UFJフィナンシャル・グループなどのメガバンクが対象になる可能性がある。

なお、バーゼル委員会は、すでに、国際的に事業展開する大手金融機関に対し、配当を増減できる「普通株」と、利益を積み上げた「内部留保」を中心にした質の高い資本である「Core Tier1=コアティア1」が最低でも7%に達するよう求めることを決めている(バーゼル3の要求する普通株等の最低所要水準は4.5%だが、将来のストレス期に耐え得るように2.5%の資本保全バッファーの保有が求められているため、4.5%+2.5%=7%が必要となる。資本保全バッファーは、最低所要自己資本比率と異なり、これを下まわっても早期是正措置は求められないが、下回ったその程度に応じて配当、自社株買い、役員報酬制限など社外流出が制限されるため「実質的な強制力」がある。)。

日本のメガバンクは、不良債権の処理費用をコアティア1に含まれない優先株の発行などで調達してきたため、海外銀行に比べて比率が低くなっている。

※参考
2011年6月26日 asahi.com
「世界的金融機関に自己資本上乗せを要請 バーゼル委」

2011年06月30日
法律事務所ホームワン