企業法務コラム

英国総選挙後の経済的影響

英国の有権者は5月6日に断固とした決断をすることを迫られている。なぜなら、英国政府は国際市場にたいして過剰な公共支出と急上昇する公共債務に対して、速やかかつ断固たる処置を取るとのシグナルを送ることが必要だからである。
赤字の削減こそ国の最優先課題であるが、絶対多数の政党が存在しない議会で起こりそうなことは、各党がポーズばかりを気にして、政策的な言い逃ればかりをすることである。1974年にも2月に総選挙が行われた結果、絶対多数の政党が存在しない議会になり、結果政治不安が起こり、結局10月に再び選挙が行われた。その間、8カ月間に及ぶ政治的なまひ状態、効果的な意思決定の欠如は政府財政の急激な悪化を生み、2年もたたない1976年にポンド危機が起こり、英政府はIMFに頭を下げ、土壇場の救済を乞うことになった。この先例から見るに、数ヶ月の間に2回目の選挙がおこなわれることが予想でき、政治家はそのような事態が起こると見ると、選挙態勢のままでいることになる。その結果、誰も厳しい判断をすることで選挙民の人気を危険にさらすことはしない。
しかしながら、英国の対外債務は、ポルトガル、スペインなどよりもはるかに多い、9兆1000億ドルである。そのことからも、選挙後は結果の如何を問わず、決定的な行動が必要であることは火を見るより明らかである。(ティム・モーガン博士 タレット・プレボン世界調査部門長より)

※ 参照ニュース
5月7日 ファスニングジャーナル
「70年代の再来を恐れる英国、総選挙後の経済的影響」

2010年05月24日
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