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【企業法務】「正露丸」のラッパのメロディー商標に出願

代表の山田です

胃腸薬「正露丸」で知られる大幸薬品(大阪市)が、テレビCMなどでラッパが鳴らす10秒ほどのメロディーの商標登録を、4月1日出願しました。
CM効果音などを商標として登録できるようにした改正特許法が4月1日から登録できるようになったため、早速この日に出願したようです。欧米では既に、同様の立法がなされており、久光製薬は、「ヒ・サ・ミ・ツ」の音を海外で商標登録しています。色の登録では、「ティファニー」の淡いブルー、ルブタンの靴底の赤い色が代表例です。
今回、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標、位置商標の5つの商標登録が可能になりました。音商標の登録申請では、五線譜であらわしたり、「本商標は「パンパン」と2回手を叩く音が聞こえた後に、「ニャオ」と猫の鳴き声が聞こえる構成となっており、全体で3秒間の長さである。」といった形で表したりするほか、音源を録音した媒体を提出することが必要です。
ところで、この大幸薬品、かつて、パッケージが似た「正露丸糖衣S」を製造・販売する会社を不正競争防止法違反で提訴し、製造・販売の差止めや損害賠償を求めたのですが、1審、2審、最高裁と敗訴してしまいました。というのも、日露戦争後から「征露丸」(露西亜=ロシアを征服する兵士のための丸薬の意味)の名称で、多くの薬品会社が販売し、名称として普通名詞化したというのが敗訴の理由です。なお、ロシア人を刺激するのを避け、第2次大戦後は「正露丸」と呼び替えられるようになりました。
戦後、大幸薬品はこの正露丸を商標として登録申請し、いったんは認められたのですが、その後、競合他社の訴訟提起で最高裁まで争われ、登録無効となっています。大幸薬品も、今度こそはとの想いで、音商標を登録したものと思われます。

2015年04月01日
法律事務所ホームワン