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文化放送『くにまる食堂』に山田冬樹弁護士が出演/700回テーマ 「下請法」編

弁護士の山田です。

今回は、中小企業に関するテーマで「下請法」についてお話をしてきました。

まず、「下請法」とは、正式には「下請代金支払遅延等防止法」といって、公正取引委員会、中小企業庁が担当する法律です。資本力の大きな強い立場の企業が、下請け業者に発注する場合、下請け業者に不利益な契約を押し付けたり、契約が守らなれないなどという事態が起こりうるため、それを防止するのが目的です。

具体的には、下請け業者に仕事を出すときは、口頭のみでの発注は許されず、必ず書面を使うことが義務付けられています。発注書の内容についても、下請け業者は何をすればいいのか、はっきり分かるように、細かいルールが決められています。内容が曖昧だと、納品した後で、発注先がクレームをつけて、値切ろうとすることがあるので、それを予防するのが狙いです。

また、代金支払いについては、納品後、60日以内に支払うのがルールで、それを超えたら、年利14.6%の利息を払うということも決められています。ただ、ここで問題になってくるのが手形による支払いです。

通常、支払い期限が120日以内の手形で払うなら、現金ではなくても良いとされています。数%の手数料を支払えば、銀行が買い取ってくれるからですが、手数料の分、受け取れる金額は減ってしまいます。でも60日目に、期限120日の手形で支払われたら、満額を受け取るには180日、約半年も待たなければならなくなってしまうわけです。

 そこで、このルールの改定がほぼ決まっていて、2024年以降は現行の120日から60日に短縮される予定です。さらに、銀行にも手形を買い取らないように促して、手形での支払いそのものをなくそうという動きもあります。実現するかは不透明ですが、中小企業庁は、2026年までに手形の支払いを認めない方向で考えているようです。

下請法には、ほかにも下請け業者を守るために、発注元に対していくつかの禁止事項が決められています。行政指導が多いのは、買い叩き、減額、支払い遅延の3つです。買い叩きというのは、下請け業者がコスト割れになるような低い金額で発注することいい、「経営が厳しい」とか「お客さんから値下げを迫られた」といった理由で発注書に書いた金額を、後で下げることを減額といいます。

ただ、下請け業者としては、仕事がなくなることを懸念して、被害が表沙汰にはなりにくいこともあるため、公正取引委員会と中小企業庁が、毎年、発注元と下請け業者に対し、調査票を送り、違反事例がないかどうかを調べています。すると、下請け業者が、「ひどい目に遭ってます」と申告して発覚することが多いです。最近、この取り組みが活発化していて、公正取引委員会は今年1月、下請け業者が匿名で報告できる「違反行為情報提供フォーム」をホームページに作ったことから、今後はさらに明るみに出るケースが増えていくのではないかと思います。

 取り組みが活発化した理由として、今、円安、原油価格の高騰で何もかも値上がりしていますが、下請け業者は発注元に「これまでの料金でやるのは限界」と、価格引き上げを要求しても、発注元はなかなか聞き入れない状況があり、取り組み強化につながっているのだと思います。

◇日時
 毎週火曜 11:31~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまる食堂』
◇コーナー名
 「日替わりランチ ホームワン法律相談室」
◇700回テーマ
「下請法」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹弁護士

2022年09月27日
法律事務所ホームワン