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文化放送『くにまるジャパン 極』に笹森麻美弁護士が出演/664回テーマ 「パワハラ」編

弁護士の笹森です。

今週の『くにまるジャパン極』では、『パワハラ問題』についてお話をしました。

オミクロン株により,コロナの新規感染者が急激に増加していますが,ウイルス蔓延で長期に渡り,我慢を強いられてきただけに、無意識のうちにストレスのはけ口を求めてしまうのか、いわゆる「パワハラ」の相談が増えてきています。
「パワハラ」は、「労働施策総合推進法」に3つの要素が定義されています。『優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるもの』このすべてを満たせば法律的なパワハラとなります。

その中で、上司と部下の関係は、1番目の「優越的な関係」の典型的なものです。部下は上司の言動に抵抗、あるいは拒絶できないのが一般的なので、通常は、上司という立場は、部下に対して優越的関係にあるといえます。ただポイントは、あくまでも「抵抗や拒絶をできない関係」で、その関係が認められるなら、場合によっては同僚、あるいは、徒党を組んだ部下集団が上司に対して、という場合でも、「優越的な関係」と捉えられることもあります。

2番の「業務上必要かつ相当な範囲」ですが、会社内の仕事は、常に業務指示、業務命令が行われている状況で、「〇〇君、これ調べといて」と上司が言ったとすると、これは通常、業務指示、命令として発せられていることになります。でも「調べて」と言われた内容が仕事と関係のない場合、例えば「〇〇君、イカがよく釣れるポイント調べといて」と言われたらパワハラの可能性大です。また会社の仕事に関連した依頼でも、一日では到底不可能な大量の文献の調査で、それが日常的に行われていたら、業務上必要でも相当ではないということになりパワハラと捉えられる可能性が出てきます。

最後の「就業環境を害する」については、ある者の言動で、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快になり、就業する上で見過ごせない程度の支障が生じてしまうことです。ただ適切な業務指導の範囲内なのに労働者が「不快」とか「苦痛を感じた」というだけで「パワハラ」としてしまうと、会社は成り立ちません。そこで、就業する上で見過ごすことができない支障かどうかは、平均的な労働者の感じ方が基準となります。

その3つの条件を満たしてパワハラが行われたとされた場合、会社、パワハラの加害者、被害者という3者間の問題が生じます。被害者から加害者へは、刑事告訴、損害賠償請求が可能です。被害者から会社へは、休職や傷病手当、労災申請など、あるいは損害賠償請求も可能になるケースもあります。会社は加害者の処分を検討すべきですし、被害者に対しては配置転換などで就業環境の改善をすべきでしょう。

パワハラ行為は、職場の雰囲気を悪くするだけじゃなく、様々な問題の原因となるので、企業は問題が起きないように予防に努めるのが大事です。社内のトラブルについてお困りの方,また問題が起きないように予防策を検討したいという方は、是非,ホームワンにご相談ください。

◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇664回テーマ
「パワハラ」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 笹森麻美弁護士

2022年01月11日
法律事務所ホームワン