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文化放送『くにまるジャパン 極』に笹森麻実弁護士が出演/647回テーマ 「労働契約から業務委託契約への変更」編

弁護士の笹森です。

今週の『くにまるジャパン極』では、労働問題についてのお話をしました。

非正規社員の割合が増えるのは社会問題となっていますが、逆に、希望者を正社員からフリーランスに切り替えて、業務委託契約を交わす会社が出てきています。例えば、社員食堂が有名なヘルスメーターの「タニタ」では、2017年から「日本活性化プロジェクト」と名付けて、希望する社員を「雇用」から「個人事業主」、即ちフリーランスに切り替え、雇用契約から業務委託契約へと移行させています。

契約変更の目的として、業務委託に変更することにより,個人事業主として経営者の視点で事業に取り組むことで、会社からの「やらされ仕事」ではなく「自分の仕事をする」という主体性を生み出すことができ,会社の都合ではなく、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選べるわけです。また,会社といい意味での緊張感ある関係を長く続けて行こう、そんな目論見があるようです。

最近は、ホームワンにも業務委託への切り替えに関するご相談が増えてきています。会社側としては、委託した業務の成果に報酬を与えるやり方で、より良い人材と手を組み、仕事の成果につなげたいわけです。

そもそも雇用契約と業務委託契約との違いですが、雇用契約では、会社の指揮命令に従って業務を遂行します。会社は、仕事の進め方を指導したり、助言して改善を求めたり…といった形で社員と関わることになります。一方、業務委託契約では会社にあれこれ指図されることなく、それぞれの裁量で業務を遂行し成果をあげる必要があります。

もし会社があれこれ口を出してしまうと、会社から使用され、従属していると捉えられるので、形式的に業務委託契約を結んでいても、実質的には雇用契約と判断される事があります。そうすると、労働契約上の色々な権利を主張される可能性が出てきます。会社側が業務委託契約を解消したいと思って解約を申し出ても、「実質的には雇用契約でしたよね」と主張され、解雇は無効、従業員としての地位がある…として争われるリスクがあります。

雇用契約なのか業務委託契約なのかについての判断は、取り交わしている契約書の名前や規定の内容だけでなく、指図されていないかとか、報酬の額や業務代替性、勤務場所や勤務時間などを総合的に考え決するとされていますので、形式的な「業務委託契約」は危険で、実質が重要です。でも業務委託で口出しできない状況だと、仕事の進み具合もわからないし、結果的に仕上がりがヒドく,手遅れなことが起きたりします。業務委託なら、求める成果の内容につき認識が違わないよう定める必要があります。また中間報告義務を課すことで進捗の確認をできるようにするのもお勧めです。

もし雇用契約から業務委託契約への移行をお考えの場合、まずはホームワンにご相談いただければと思います。

◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇647回テーマ
「労働契約から業務委託契約への変更」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 笹森麻実弁護士

2021年09月07日
法律事務所ホームワン