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文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/599回テーマ 「SOGIハラをご存知ですか?」編

弁護士の山田です。

今日の『くにまるジャパン極』では、最近登場した新しいハラスメント「ソジハラ」についてお話してきました。セクハラはセクシャル・ハラスメント、パワハラはパワー、マタハラはマタニティ、カスハラはカスタマー、そしてアカハラはアカデミーと、様々な種類のハラスメントがありますが、アルファベットのSOGIと書く、「ソジハラ」が、新たに注目されています。

最初の2文字、SOはセクシャル・オリエンテイション、性的な志向が男女どちらに向いているか、要は女性と男性のどちらが好きかを表す言葉です。そして後半のGIはジェンダー・アイデンティファイ、つまり自分を男女どちらと認識しているかと言う意味です。 この二つを合体させたのがSOGI=ソジで、性的な志向、そして自分が男女どちらかという認識、これらについての嫌がらせ、ハラスメントが「ソジハラ」になります。

LGBTとの違いですが、LGBTは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、そしてトランスジェンダーの略ですが、これだと同性を愛する人など、マイノリティーだけを取り上げているため、その表現自体、差別的なニュアンスを感じさせる側面があります。ところが、SOGIだとすべての人が含まれ、表現も差別的ニュアンスがないので、世界的にもこちらが一般的になりつつあります。

ソジハラの特徴として、「アウティング」という問題が含まれています。これはLGBTの人たちに対して、本人の了解を得ないで、ほかの人に性的志向や性同一性のことを暴露する行動の事です。かつて一橋大学のロースクールで、男子生徒Aが男子生徒Bに恋愛感情を告白したところ、BがそれをSNSでバラしてしまい、それを苦にしたAが自殺する悲しい事件がありました。自殺したAの遺族は、Bと大学を相手に、損害賠償を求めました。和解の内容を口外しないという条項が付けられた形で和解したため、和解内容などはわかりませんが、これがきっかけとなって、大学のある国立市では、全国で初めてアウティングを禁止する条例が制定されました。

実は同じような事件は、企業でもよくあります。
ある会社の男性社員が、男性に対して性的関心を持つ傾向があり、その会社の役員が何度もからかっていたケースで,男性社員が役員に損害賠償を求めて、東京地裁は、請求の一部を認める判決を出しました。
一方、損害賠償が認められなかったケースもあります。これは、同性の同僚に告白したら、告白された方が会社を辞めようか…と思い詰め上司に相談、その結果告白した方が自殺した事件で、告白された方はその相手につきまとわれている実感があり、さらに告白で「リストカットした」とまで明かされたそうです。この場合は、たとえ異性からだとしても困ります。男女間でも好きでもない異性から交際を迫られたら、会社に居づらくなることもあるわけですし,それが原因で退職されたら会社にも大きな損失となってしまいます。
こういった問題に対処するには、就業規則でハラスメント全体についての禁止規定を置くだけでなく、ガイドラインを定めたり、研修などを行って、社員に問題意識を持ってもらうことが必要になります。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇599回テーマ
「SOGIハラをご存知ですか?」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士

2020年09月29日
法律事務所ホームワン