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文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/585回テーマ 「賃金の消滅時効」編

弁護士の中原です。

本日の『くにまるジャパン極』では、「賃金の消滅時効」というテーマでお話してきました。給料は、決まった日に銀行に振り込むなどして支払うのが普通なので、時効を気にする方はあまりいらっしゃらないと思いますが、ここで問題になるのは、ほとんどの場合が割増賃金、いわゆる残業代請求の場面です。残業代も毎月、会社がきちんと支払えば問題ないのですが、残念ながら、まったく払っていないとか、法律の定めから考えると不十分、というケースがけっこうあるものです。

では、どれくらいで時効になるかと言いますと、これまで民法では1年とされていて、それでは労働者の保護という観点から不十分ということで、労働基準法の定めで2年、となっていましたが,4月1日からの民法改正で、時効が伸びることになりました。まず、民法上の1年という定めが削除され、併せて、新たに、「契約に基づく債権の一般的な消滅時効の期間」として、「権利を行使することができることを知った時から5年」というルールができました。これは、かなり伸びたように感じますが、2つ注意するポイントがあります。

1つめは、民法改正に合わせて今回労働基準法も改正され、そちらは「請求権を行使することができる時」から5年となっています。ややこしいですが、民法は権利を行使できても、そのことを知らなければ時効は始まらない、としています。一方、労働基準法では、客観的に権利を行使できるようになった時から時効が始まります。賃金については、特別法である労働基準法が適用されますから、それぞれの支払日からカウントダウンが始まることになります。

もう1つのポイントは、当分の間は、5年ではなく3年で時効と定められていることです。
これは、会社の帳簿の保存期間が3年とされていた関係で、いきなり5年だと会社の負担も大きいと考えたようです。そのため、実質的にはこれまでの2年が3年に伸びたという形です。

最後に気を付けていただきたいのは、新ルールは今年の4月以降に支払期日が来るものに限られ、それ以前の残業代は、これまで通り2年で時効になります。

ホームワンには,労務に力を入れた企業法務部門があります。従業員から残業代請求を受けたが妥当かどうかわからないなど、労務問題でお悩みの経営者の方,ぜひお気軽にご相談ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇585回テーマ
「賃金の消滅時効」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士

2020年06月23日
法律事務所ホームワン