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文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/571回テーマ 「事業承継と税金」編

代表の中原です。

今週の『くにまるジャパン 極』では、中小企業の事業承継の問題にまつわるお話をしてきました。消費税の増税、また、最近のコロナウイルス騒ぎなどもありますが、中小企業の代表者の高齢化が進み、上手く事業承継ができず、結果として優良企業でも倒産せざるを得ないケースが発生しています。

優良企業ですから、後継者がいないのではなくて、税金が問題になっているのです。経営者が息子さんに株式を贈与すると、贈与税、相続させると相続税がかかってきます。そうなると、四苦八苦して税金を捻出するよりは、いっそのこと会社を畳んでしまおうか、という話になるわけです。これまでも「事業承継税制」というものがあって、事業承継のための未上場株の贈与については、税金を猶予しようという制度がありました。ただ、非常に使い勝手が悪く、利用が進まなかったので、一昨年、システムの変革が行われました。

ポイントは3つあります。まず、これまでは、社長が持っている株を、後継者に贈与する時しか、この税制を利用することができませんでした。同族経営の会社では、社長1人が株を持っているケースは少なく、奥さんや子どもたちなどに、株を分散していることが多いので、社長が持っている株だけではなく、奥さんや他の兄弟の株もOKになりました。

それから、猶予の対象となる株の割合も改められました。以前は株式全体の3分の2までという制約でしたが、全部が猶予の対象になりました。そして相続税の猶予割合も、これまでの80%から100%に変更されました。

もう1つ、以前は納税猶予のためには、承継から5年の間、従業員の数が8割を一度も割ってはならない、とされていましたが、その後、平均で8割確保されていればよく、さらに一定の手続きを行なえば、平均8割を下回ってもいいことになりました。事業を継続してもらうことが目的なので、従業員数の確保という要件が厳しかったのですが、中小企業の場合、大企業ほど経営が安定しているわけではありませんので、その点が配慮されました。

ただ、この制度を利用するには、2023年の3月31日までに「経営革新等支援機関」の指導及び助言を受けて作成した「特例承継計画」を都道府県に提出する必要があります。「経営革新等支援機関」というのは税理士や銀行員、経営コンサルタントなどで資格を持っている人を指します。他にも、事業承継は、相続全体についても目を配って行なう必要があります。相続人の間で話し合いがまとまらないと、各相続人にそれぞれ取り分があるので、株式の取得を巡って争いになってしまいます。そのため、遺言書で株式を後継者に相続させ、代わりに他の相続人へ、他の財産を相続させるよう決めておくことが必要になります。他にも、たとえば社長が会社にお金を貸している場合、相続前に清算しておかないと、その債権が他の相続人に相続され、後継者が相続したとたんに返済を求められて、社経営が苦しくなることもあります。このように、事業承継は少し面倒な面もありますので、早い段階から、ホームワンに相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇571回テーマ
「事業承継と税金」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士

2020年03月19日
法律事務所ホームワン