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文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/564回テーマ 「人事労務-解雇の際に気を付けるべきこと-」編

弁護士の中原です。

今週の『くにまるジャパン 極』では、経営者の方からよく受ける相談「期待して採用したが、能力不足で困る。解雇はできるか」というテーマでお話をしてきました。これは難しい問題で、従業員にしてみれば、ちゃんと働いているつもりのことが多く、解雇は無効だとして、紛争になる事がよくあります。そこで能力不足の社員を解雇する場合、会社側は2つのポイントに気を付けてほしいと思います。

1つはその従業員の「出来が良くない」事実を証拠で示すこと。もう1つはその従業員を教育指導・訓練そして叱咤激励したがダメだった…、という事実を証拠から示すこと。裁判になった場合、この2つがきちんと証明されないと、解雇が無効になってしまう可能性が高いです。上司や同僚、経営者から見れば、従業員のデキの悪さは明らかで、改めて事実を示す必要もないことだとお考えかもしれませんが、でもそれは社内だけでしか通用せず、法廷に出てしまうと、具体的な証拠なしには,社員の能力の低さが伝わりません。

方法としては、次の4つの事実に関しての証拠を集めてください。第1に、能力が不足していると言う客観的評価。第2に、その評価に至った具体的な言動、例えば、怠けとか、発言、不始末といったものです。第3に、その評価がなされたのが、従業員本人の責任だと言えること。最後に、人には調子の波があるので、ある程度の期間を与えて評価すること。この4つです。

客観的評価というのは、多くの一般企業では、人事評価尺度基準でSからDまでの5段階評価を採用しています。この評価は客観的基準として有益なものですが、企業によってはあまり悪い評価をしない習慣があって、どんなダメな社員でも中間の「B」評価をしてしまうことがあります。そうすると裁判所は「Bならクビにするほどじゃない」と考えてしまうので、注意が必要です。また、具体的な言動や責任の記録ですが、その社員を注意した事実を文書にして残しておき、そして「注意された事項は今後直します」と念書を取っておいて、後で直っているかをチェックし、指導した成果が出ているか、誰が見てもわかる形で残しておくことが必要になってきます。そして最後の評価期間ですが、短くても半年、できれば1年から2年はやらせてみて改善を促さなければなりません。

会社側にとっては忍耐のいる話かもしれませんが,能力不足の社員を漫然と放置せず、面倒を見て教育・訓練を行ない、何とか改善させようと頑張ったけれど、どうしようもなかった…という事が言えて始めて、解雇の有効が判断されます。裁判になると、裁判官を納得させるだけの証拠がない事が多く、解雇無効で経営者の方が頭を抱える場面が本当に多いです。

どうにもならない、クオリティ不足の社員に頭を抱えている経営者の方々、まずはホームワンにご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇564回テーマ
「人事労務-解雇の際に気を付けるべきこと-」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士

2020年01月31日
法律事務所ホームワン