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文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/557回テーマ 「復職支援」編

代表の中原です。

今週の『くにまるジャパン 極』では、労働問題に関するお話をしてきました。最近、どこの職場でも、職業生活上の強い不安やストレスなどが引き金となって、心の健康、いわゆるメンタルヘルスの不調により、休職する労働者が増えています。その様な労働者が職場にどの様に復帰するか、いわゆる「休職からの復職」が、労働者のみならず、企業にとっても、重要な労働問題になっています。

働いている側は復職できなければ退職となってしまいますので、無理をしてでも復職しようとするかもしれません。他方、会社側にしてみれば、心に何らかの問題があって、仕事を休んでいた人を職場に戻すということは、その人が戻って来ることで、職場環境がどうなるのか、業務に与える影響などを考える必要があります。

復職の判断の枠組みとしては,休職前の仕事を、普通にこなせる状態に回復していれば、職場に戻ることができるということにはなりますが、その社員の主治医と、職場全体の健康管理を行う産業医との判断が分かれたり、対立したりする場合があり、難しい所です。

裁判実務では基本的に産業医の見解を基準に復職可能性を判断します。主治医はその人の病気を治療するという観点から復職可能性を判断しますが、産業医はその人がちゃんと働けるのか、というポイントで復職可能性を考えるからです。
ただ,裁判例をみても,メンタル不調から復職を申請した労働者に対して、会社がもう復帰は無理と判断し、休職期間満了による退職としたのを無効、復職が妥当と判断したケースがある一方、いわゆる「躁うつ病」で3回休職し、会社側が3回目の復職を拒んだケースで、裁判所が労働者の訴えを退けて、復帰がかなわなかった事件もあり、本当にケース・バイ・ケースです。

復職の方法はとても重要で、職場復帰支援プログラムを作成し、実践している企業はたくさんあります。これは、休職から復職までの流れをあらかじめ明確にしておくものですが、ホームワンでは、「試し出勤制度」の採用をお勧めしています。これは,本格的に復帰する前に、元の職場などに一定期間継続して試験的に出勤する制度です。この制度のいいところは、休職中の治療情報は主治医が持っていますから、試し出勤の期間中に産業医もそれを共有できるため,主治医と産業医の見解が違っていても、キメ細かく対応できるようになることです。また、社員本人もリハビリ的な感覚で、無理なく復帰できる可能性が大きくなりますし、職場の他のメンバーも「慣らし運転期間」を持つことができるわけです。

ただ,試し出勤制度期間中の給料はどうするのか,分の会社独自のシステムにするのか、ひな形を使うのか、主治医と産業医の連携をどこまで求めるか、期間はどうするか…といったという点についても検討が必要です。ホームワンには、労務に特化した企業法務部門がありますので、こうした問題でお悩みの方は、ぜひご相談戴ければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇557回テーマ
 「復職支援」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士

2019年12月13日
法律事務所ホームワン