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文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/535回テーマ 「私傷病休職制度その2」編

代表の中原です。

今週の『くにまるジャパン極』では、先週に引き続き「休職制度」についてお話しました。先週のおさらいをしますと、業務とは関係ない病気やケガの事を、「私傷病」と呼び、本当は働いてほしいけど無理な場合、会社側は仕事を休ませる、即ち「休職しなさい」と発令できるというお話をしました。今回は、休職命令を発令した後のお話です。

まず、休職の期間はそれぞれの会社によりますが、勤続年数に応じて、段階的に設定する場合が多いです。ただ、「私傷病休職」の目的は、解雇の猶予にありますから、あまり長すぎないようにするのがポイントとなります。また、私傷病休職期間中の賃金については、法律上は「ノーワーク・ノーペイ」が原則ですから、会社が賃金を支払う必要はないですが、労働契約を結ぶ上で、一定の額を支払うようにすることは可能です。いずれの場合でも就業規則に明記しておく方が良いでしょう。

そして、休職期間が終わって復職できるかどうか、これもまた就業規則できちんと決めておく必要があります。仕事に戻れるのか、ダメなのかの判断基準ということですが、原則は、休職前の仕事を普通にこなせる健康状態に戻ったかどうか、になります。この判断は難しいので、「休職事由が消滅したと認められる時」と規定しておく事が多いです。
復職出来るかどうかを判断するのは会社側ですが、まず①「職場復帰に求められる労働能力があるか」、そして②「病状、健康状態の情報」を摺り合わせて判断します。ただ、問題なのが、情報を提供する医師が、仕事で求められる能力をきちんと理解していない可能性がある事です。医師が本人や家族の意向を受けて「復職可能」という診断書を書くケースが、実は多いです。そこで、会社側は診断書の他に症状や健康状態がわかる資料を本人から提出させたり、医師に直接、診断内容の詳細を確認したりする事もあります。プライバシーに関わる問題なので、これについても予め、就業規則に定めておくといいでしょう。

いよいよ復職…となると、基本的には以前の仕事に戻します。ただ健康状態により、以前より負担の軽い仕事が適当…という場合もあります。そこでそういった場合に備えて、「違う部署に戻す可能性もある」と、就業規則に定めておくのがいいと思います。
また、いざ復職したものの、わずかな期間だけ勤務して、その後、欠勤を繰り返す…というのも少なくないです。実際のところ、休職期間を満了することなく、復職してすぐ欠勤を繰り返すというケースもよくあります。対策としては一定期間内に再発、類似の傷病による欠勤をする等、就労に耐えないと判断した場合、もう一度休職命令を出し、その休職期間は前の休職期間と通算すると定めておきます。そして休職期間が終わったら雇用期間満了による退職とする。解雇も考えられますが、解雇には法的なリスクが多いので、定年や死亡などと同じ「当然退職」という扱いが無難です。

私傷病休職一つとっても就業規則に定めるにあたり、複数の法律が問題となり、難しい問題も多く含んでいます。迷われた時は、気軽にホームワンにご相談戴ければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇535回テーマ
 「私傷病休職制度その2」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士

2019年07月12日
法律事務所ホームワン