メディア情報

文化放送『くにまるジャパン』に 中原俊明代表弁護士 が出演 189回 テーマ「会社もセクハラに責任がある!?」編

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン  中原俊明 代表弁護士

189回 テーマ 「会社もセクハラに責任がある!?」編(10月9日 午前9:45 ~) 

■放送内容要約(実際の放送内容とは若干異なります。)

邦丸
先週に引き続いて職場の「セクハラ」に関するお話です。法律的には「性的な言動で労働者が不利益を受けたり働く環境が害されたり」するとNG、ということでした。

中原
加害者本人はもちろん責任を問われますが、そういうセクハラ社員を雇っていた会社側の責任はどうなると思いますか?

邦丸
加害者を雇っていた会社ですか…。う~ん。

中原
加害者を雇っていた企業は、刑事上の罪には問われません。
ただし、民事上の責任を負うことはあります。たとえば、セクハラ社員が被害者に「損害」を与えた場合は、会社が損害賠償責任を負うことがあります。また、労働契約の観点から、会社が「労働者が働きやすい職場環境を保つよう配慮すべき義務」を怠った場合は、「債務不履行」の責任を問われることも考えられます。

邦丸
具体的に教えていただけますか?

中原
まず、平成16年、広島高等裁判所の判決です。上司が部下に対し、卑猥なメールを数回にわたって送信。また他の従業員の外出中に、セクハラ行為をしていました。一方、この会社では、セクハラ防止対策の具体的な啓発活動を行うなど、適切な措置をとっていませんでした。そのため、会社が「良好な職場環境を整備すべき義務」に違反したとされました。

邦丸
雇っている会社側が責任に問われることがあるんですね!

中原
もう一つ、ご紹介します。平成15年、青森地方裁判所。取締役である上司が部下に対し、9年間にわたって、職場で睨みつけたり、ラブレターに類する手紙を送っていました。また出張に出ると、宿泊先でセクハラ行為を働いています。被害者は労働組合や会社に相談しましたが「我慢しろ」と言われ、さらに降格及び配置転換、最後は退職を余儀なくされました。

邦丸
誰も助けてくれずに退職。ひどいですね。

中原
裁判では、加害者が損害賠償するのはもちろん、会社も連帯責任を負う、との判決が出て、慰謝料と逸失利益など、600万円ほどを支払うことになりました。

邦丸 
企業は、真剣に対策を考えないといけませんね。

中原
現在、「男女雇用機会均等法」では、事業主はセクハラ防止のため雇用管理上必要な措置をとることを義務付けられています。措置は大きく分けて4つ。まず「方針の明確化及びその周知・啓発」つまり「セクハラしたらこうなりますよ」と、従業員に知らせておくということですね。

邦丸
ほかにはどんなものがありますか?

中原
二つ目は、被害者の相談に応じて、適切に対処するため必要な体制を整えることです。相談窓口を作って、相談があったら適切な対応をとらなければいけません。三つ目は、セクハラが起きてしまったときの措置。事実関係の確認、関係者への適切な措置、再発防止措置などです。

邦丸
ルールと窓口をつくって、適切な対処をするんですね。

中原
さらに、これらと合わせて、関係者のプライバシー保護、また相談したことなどに対する不利益な取り扱いの禁止、なども行わなければなりません。こうした措置をとらないと、厚生労働大臣の勧告を受け、さらに企業名が公表されることもあります。企業にも相当な努力が求められる時代になったといえますね。

2012年10月09日
法律事務所ホームワン