文化放送『くにまる食堂』に中原俊明代表弁護士が出演/683回テーマ 「親が住宅購入資金を援助した場合の財産分与」編

2022年05月31日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の中原です。

今回は、離婚関連のなかから、「親が住宅資金を援助した場合の財産分与」について話をしてきました。

まず、子が家を購入するときに、親が購入資金を援助してくれることはあると思います。しかし、子が数年後に離婚することになり、財産分与が必要になった場合、子に援助した資金を返してもらえるかどうかですが、もし、借用書があれば返してもらうことは可能です。でも、実際は、借用書などを作成せずに  援助しているケースが多いと思います。そのような場合で住宅の財産分与を行うときの多くは、親が出したお金の分を「特有財産」である、として、差をつけるのが一般的です。

やり方はいろいろありますが、代表的なものでは、以下の通りです。

(1)まず購入価格に対する援助金の割合を求める。
(2)現在の査定価値からローンを引いた実質的な価値に、援助金の割合を掛けた金額を、特有財産の保持者である妻が優先的に配分を受ける。
(3)残りを夫と妻で半分ずつ受け取るというのがあります。

具体的な例で説明すると、5000万円のマンションを購入するにあたり、親が1000万円を援助して、子ども夫婦が残りの金額である4000万円のローンを組んで購入したとします。それから数年後、マンションの査定価格は4000万円に下がり、ローンはまだ3000万円残っているという時点で離婚しました。

まず、親が援助金額は購入価格5000万円に対し1000万円ですから全体の5分の1となります。現在の査定が4000万円で、ローン残額(3000万円)を引くと1000万円となり、子は5分の1である200万円を優先的に受け取れます。残った800万円を夫婦で等分するため、最終的な子の取り分は400万+200万の600万円となります。

次に、査定価格そのものに援助金の割合をかけ計算する方法を紹介します。
上述の例と同様の条件とし、まず、査定価格4000万円の5分の1である800万円を優先的に子が取得します。そこから、ローン残額(3000万円)を引いて、残りの200万円を等分するので、子の取り分は900万円(800万円+100万円)となります。

実際、親が援助した家の財産分与はケース・バイ・ケースで援助した経緯や、親も登記簿上の共有者になっているか、購入してからの年月、査定価値の変動状況、離婚に至る原因など、様々な要因を踏まえて検討するのが一般的です。

しかし、互いに言い分もあり、当事者だけではまとまらないケースもよくあります。その場合は、離婚調停の中で話し合うことが多いのですが、調停もあくまで話し合いで解決を目指す手続きであり、当事者が納得する条件を模索する段階となります。ここでは、裁判官や調停委員に、自分に有利な方法を採用してもらうため、相手が納得するような説明を、丁寧にやっていくことが大切になってきます。

親が子に対し、援助する例は多いと思います。でも離婚が避けられないという状況になった場合は、専門家のアドバイスを受けながら後悔しないよう、交渉していくのが必要となりますので、お困りのときには、是非、ホームワン   にご相談ください。

◇日時
 毎週火曜 11:31~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまる食堂』
◇コーナー名
 「日替わりランチ ホームワン法律相談室」
◇683回テーマ
「親が住宅購入資金を援助した場合の財産分与」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士