文化放送『くにまるジャパン 極』に小杉直樹弁護士が出演/431回テーマ 「遺言 入門編」編

2017年06月27日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の小杉です。

最近,遺言を残す人が増えているそうです。
一般的には「ゆいごん」という読み方がおなじみだと思いますが,法律では「いごん」「いごんしょ」と読むことになっています。
自分の遺産を誰に引き継がせるか,決めておきたい…という気持ちが大きい方が遺言書を書くケースが多いようです。
きちんとした遺言書があって,分け方が決まっていれば,相続に関する揉め事も起きようがありません。残される家族のことを考えるなら,無用なトラブルを防ぐためにも,遺言書は残しておいたほうがいいと思います。

配偶者や子どもなど,遺言書がなくても相続できる立場の方に財産を引き継がせたい場合は,「誰々に,この財産を相続させる」という書き方がお勧めです。「相続させる」という書き方をすることで,将来の名義変更手続きがしやすくなるからです。

配偶者や子ども以外の,たとえばお世話になった方に財産を残したい,という場合は「相続させる」ではなく「遺贈する」と書けばOKです。「遺言」による「贈与」という意味です。
ただこのように相続させると,たとえば奥さんやお子さんの中には面白くないという人が出てくるかもしれません。自分の取り分が減ってしまうわけですから,協力してくれない可能性があります。
そこで,手続きをきちんとしてもらうため,「遺言執行者」という人を遺言書で指定しておくことができます。遺産を贈りたい相手自身を「遺言執行者」に指定しておけば,積極的に手続きを進めてくれると予想できます。

一方,相続人に相続させる場合は「遺言執行者」はいりません。指定された相続人だけで手続きを進めることができます。

また,遺言書は,自身で作成する自筆証書遺言と,公証役場で作ってもらう公正証書遺言などがあります。どちらも効力としては同じです。
ただ自分一人で作ると,書き方を間違えたり,法律で決められたルールに違反してしまったりする可能性があります。
せっかく作ってもただの紙切れになってしまっては困りますし,有効な遺言書でも,失くしてしまうこともあります。
でも公証役場で公正証書を作れば,法律にのっとった内容できちんとした書式のものを,きちんと預かってもらえます。
もちろん費用はかかりますから,「全財産を妻に相続させる」といった単純な内容なら,手書きでも十分かもしれません。

「全財産を妻に相続させる」という内容の遺言書を残された方に,子どもがいたら,全財産をお母さんに残されると,それはちょっと…と言いたくなるかもしれません。
その場合,子どもには「遺留分」といって,遺産のうち一定の割合が保証されていますから,お子さんがいる場合は困りますね。
ただ,お子さんがいらっしゃらないご夫婦の場合は,遺留分が問題になるケースはほとんどありません。
全財産を配偶者に相続させるという遺言を残したほうが相続問題でトラブルに巻き込まれる心配がなくなります。
ただし,法律では,遺言書を二人で一緒の紙に書くことは禁じられていますので,夫婦で別々の紙に書いていただきたいと思います。

いろいろ面倒なルールがありますので,遺言を作成するときは,弁護士など,専門家の力を借りるのがベターかもしれません。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇431回テーマ
 「遺言 入門編」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 小杉直樹 弁護士