社会保険労務士様対象セミナー 問題社員対応(労働契約の終了を巡る紛争)

社会保険労務士向けに、問題社員の対応方法について、裁判例を紹介しながら解説いたしました。

  • 開催日時:2019年2月13日(水)16:00~18:00
  • 会場:法律事務所ホームワン会議室
  • セミナー名:社会保険労務士様向けセミナー「問題社員対応(労働契約の終了を巡る紛争)」
  • 講師:代表弁護士 山田冬樹、弁護士 笹森麻美

セミナー風景

社会保険労務士様向けセミナー「問題社員対応(労働契約の終了を巡る紛争)の様子

社会保険労務士様向けセミナー「問題社員対応(労働契約の終了を巡る紛争)」の様子

セミナー内容

  • はじめに
  • 事例紹介
  • 休職
  • 普通解雇(有効性判断枠組み等)
  • 裁判例紹介(セガ・エンタープライゼス事件、富士ゼロックス事件等)
  • 懲戒処分・懲戒解雇(使用者が注意すべきこと)
  • 士業向けサポートプランのご案内

担当弁護士より

使用者側として、解雇原因があったとしても、それを立証出来ず、解雇無効を認められてしまうケースもあります。近時の裁判所の傾向では、従業員の問題行動そのものより、使用者側が改善指導を適切に行っているかという手続面を重視する方向が強くなっているように思われます。

セガ・エンタープライゼス事件は使用者側敗訴、富士ゼロックス事件は使用者側勝訴と結論が分かれましたが、使用者側の対応の適否がこの違いをもたらしたものと言えます。またセガ・エンタープライゼス事件では、使用者側が解雇原因としてあげる「積極性がない、意欲がない、自己中心的、協調性がない、反抗的な態度である、融通が利かない」といった点について、具体性に欠けるとして、解雇原因として認めていません。

例えば「積極性がない」というのは主観的評価に過ぎず、これを「いつ、こういう事態が生じ、●すべきであるのに●をしなかった」という客観的評価に置き換える必要があります。さらには「それを指摘すると●という不合理な弁解に終始、客先に●といった迷惑をかけた」といった、使用者側の改善指導の有無、本人の対応、業務への影響という面も併せて主張しないと裁判には勝てません。

訴訟では、従業員の問題点を以下に把握し、これに対しいかなる指導を行い、その効果はどうだったか、それを証拠という形で提出できるかという、会社の労務・人事管理体制が問われているのです。

中途採用者については、いわば完成品として採用しているため、改善指導は余り重要ではありません。しかし、応募者に、どういう能力を求めているかを明確にしておかないと、求めている能力と実際の能力に齟齬があるという主張が出来なくなります。試用期間を過ぎて正式雇用する際、能力において不足する点があれば、それを指摘し、課題シートを作成し、それが達成できなければ解雇もありうることを明確にすべきでしょう。

懲戒解雇にしても、就業規則の整備とともに、主観的評価の客観的評価への置き換え、証拠の確保等が、上記と同様に重要となります。

また、近年では、問題社員の一類型として、精神疾患を罹患する社員の休職、復職の問題も顕著に表れてきています。この場合、就業規則の整備も問題ですが、治癒の可能性の有無を判断するにつき、医師の判断を根拠にしたか、代替的職場の提供がなされたか、といった運用面が重要になってきます。

問題社員に対処するためには、就業規則といったハード面と、運用といったソフト面の双方が重要であり、その双方について、適切な助言をすることが社労士の先生方に求められていると言えるでしょう。

セミナーアンケート

参加者の皆様からご協力いただいたアンケートの一部をご紹介いたします。

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