【企業法務】東京都 老人ホーム運営指針大幅改定

2016年01月05日
法律事務所ホームワン

川崎市内の有料老人ホームで入居者が相次いで死亡した問題を受け、東京都は、病気が原因であることが明らかな場合を除き、入居者が死亡した場合は報告するよう、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針を改正しました。

溺水、誤食・誤飲、認知症による所在不明、自殺未遂、虐待があった場合も報告を求め、入居者の家族への速やかな連絡盛り込んでいます。

旧指針では、報告すべき要件が「死亡など重大事故が発生した場合」と抽象的であったため、具体的なものに改めています。

以上は12月26日付日経の記事の引用ですが、改訂点は、上記にとどまらず、契約の際の入居者への情報開示、拘束0への配慮等、多岐にわたっており、大改訂と言っていいでしょう。老人ホーム施設運営者は、新指針を早い段階で、把握、理解し、現場の運営に落し込んでいかないと大変です。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/shisetu/yuuryou/shishin.files/shinkyutaishou271222.pdf

ところで、こうした事故対策については、病院での安全管理が参考になるでしょう。
都立病院では、医療の全過程において発生したどんな些細な出来事でも、気付いたことはレポートとして報告し、その分析を通じて、医療事故の発生を未然に防止することを目的とするインシデント・アクシデント・レポートの集計を平成12年8月から実施しています。

今回、平成26年4月から平成27年3月までの1年間に全都立病院で報告されたレポートの集計結果をとりまとめたので報告する。同報告では「インシデント」を、日常診療の場で「ヒヤリ」「ハッ」としたが、実施させる前に気づいたもの、何ら影響がなく患者に変化がないもの、何らかの影響を与えた可能性があり、観察の強化や検査の必要性が生じたものと定義付けており、「アクシデント」については、患者に何らかの変化が生じ、治療・処置を要したもの、集中治療や生命維持のための措置を要したもの、事故が死亡に関連した疑いのあるものと定義づけています。

私が個人的に気になるのは薬剤の問題です。
私の母が入っている老人ホームでも、薬剤の取り違えなども時々起きます。
施設では、数回分飲んでしまわないように、毎食後1回分だけを渡すようにしていますが、その過程で取り違えが起きてしまっているようです。本来ダブルチェックしているが、人員が急に他に取られ、急遽1人で対処せざるを得なかった結果、取り違えが発生したということもあるようです。

さらに怖いのは、薬剤をシートから切り離し、小分けしてしまうため、認知症のある高齢者が包装ごと飲みこんでしまうことです。こうした事故が起こっても、高齢者はのどが痛いのがこうした包装の誤飲だと気付かず、レントゲンでもプラスチックは影を生じないため、医師もなかなか発見できません。
仮に分かっても手術で摘出するしかなく、そうした負担が高齢者の生命にも悪影響を生じます。

であれば、薬剤を一つずつ取り出し、そのまま飲めるようにすればいいかというと、手間がかかるのと、職員側でもダブルチェックができなくなり、高齢者自身、間違った薬を処方されても気がつかないという欠点があり、難しい問題です。