損益計算書(P/L)のチェックポイント

収益計算書(P/L)の各項目のチェックポイント

売上高

銀行は売上高の過去から現在までのトレンドを見ます。3~5年程度の売上高の推移を見て、売上が、増加傾向にあるのか、横ばいなのか、減少傾向にあるのかを確認します。売上の推移を見ることで、会社の今後の方向性を判断します。
また、売上の増減だけではなく、売上に占める各利益(売上総利益、営業利益、経常利益等)の割合も時系列で比較します。売上が増加しても、利益率が下がっている場合は、その会社は、収益力が低下していると判断されます。

役員報酬

役員報酬が多いがために、赤字決算になっている場合があります。金融検査マニュアルでもその場合、直ちに要注意先以下の債務者区分にしないよう指示が出ています。ただ、それで融資を得ようとすれば、今後の方針として、役員報酬等の軽減を図るべきでしょう。
役員報酬や社長の家族に対する給与が多すぎることが赤字決算の大きな原因になっている場合があります。このような赤字決算の会社が融資を得ようとすれば、当然社長等への報酬を減らすべきです。そうすれば、その分資金繰りはよくなるので、銀行も融資に応じてくれる可能性があります。実際に、金融庁の「金融検査マニュアル」には「中小・零細企業等の債務者区分の判断に当たっては、その業種にもよるが、販売コストの大部分を代表者等に対する報酬や家賃の支払が占める場合があり、こうした場合、代表者等に対する報酬の多寡が売上の増減と相俟って、債務者の決算に大きな影響を及ぼすことになる。したがって、中小・零細企業等の場合、赤字・債務超過が直ちに、要注意先以下の債務者区分であるとすることなく、赤字の発生原因や金融機関への返済状況、返済財源について確認する必要がある」とあります。
ただ、社長の個人債務が原因で、社長らにこうした多額の報酬が払われているケースがよくあります。例えば、社長が高額の不動産を購入したため、その住宅ローンの支払をするために、役員報酬を多くもらわざるを得ないという場合です。この社長がオーナー社長であれば、こうした場合役員報酬等の減額は望めません。そうなると銀行の融資も厳しくなります。

減価償却費

損益計算書を黒字化するために、減価償却費を未計上にする場合があります。しかし、銀行は償却限度額までキチンと計上しているかどうかをチェックします。償却不足があった場合は、償却限度額まで償却したものとして、損益計算書は補正されます。その結果、利益も減ることになります。
別項で詳しく述べますが、減価償却費は、キャッシュアウトには計算されないのです。ですから減価償却費を載せるから、利益が落ちるからといって載せないのは愚策だと言えます。
減価償却費を載せると利益が落ちるからと載せない経営者がいます。確かに、銀行は、年間どのくらいの利益を得ているかにより、返済能力を見るのですが、減価償却費は現実には会社から出て行かないお金ですから、銀行も出費とはみなしません。ですから、減価償却費を隠匿しても意味がないのです。逆に、一種の粉飾決算として、銀行にばれた場合、印象を大きく損ねます。
中にはその逆の場合があります。個人資金で買った個人所有の自動車を、B/Sを黒字にするために、会社所有の自動車として資産に載せている会社があります。これも立派な粉飾です。

債務償還年数等、財務分析にはいろいろなツールがあります

債務償還年数は10年以内であれば合格点

債務償還年数とは、借入金を利益で完済するのに要する年数を表す数字です。返済能力を重視する銀行としては、融資するに際し、最も重視する数値の一つです。

債務償還年数=
(有利子負債合計-所要運転資金)÷理論上のキャッシュフロー


有利子負債 =短期借入金+長期借入金+社債+割引手形
所要運転資金=売掛金+受取手形+割引手形+在庫(商品や原材料など)-買掛金-支払手形
理論上のキャッシュフロー=税引後当期利益+減価償却費

債務償還年数が10年以内であれば、一応合格点と言えるでしょう。

流動比率

流動比率とは、流動資産と流動負債の比率です。流動資産は、1年以内に現金化できる財産、及び、通常の企業活動の中から生じた債権です。流動負債は、1年以内に返済すべき負債です。流動負債が多いということは直近の資金需要があることを意味し、資金繰りにとってマイナスですが、逆に流動資産が多ければ、そのマイナスを補うことができます。

流動比率=流動資産÷流動負債

これが1を下回ると、返済能力を疑われることになります。

在庫回転期間

買った商品ないし作った商品がどのくらいの期間で売れているか、現金化されているかを示した数字です。抱えている在庫が少ないほど、必要資金は少なくても済んでいることになります。在庫が多いということは、商品として売れない在庫を多く抱えているか、過剰に在庫を貯えているかのどちらかです。

在庫回転期間=在庫÷平均月商

銀行は、在庫回転期間が1ヶ月以内なら「安心」、2ヶ月で「ぎりぎり安心」の領域ですが、3ヶ月になると「不安」になり、6ヶ月となると「危機的」と感じます。過大な在庫は陳腐化、不良化を疑わせるからです。
在庫回転期間の増減も重要です。増加傾向にある場合、銀行は、資金繰りの悪化を警戒します。

売掛債権回転期間

売掛金をどのくらいの期間で回収できるか(¬=現金化できるか)を見る数字です。売掛金を早く回収できればできるほど、運転資金が少なくて済むことになりますので、銀行の評価も高くなります。

売掛債権回転期間=(売掛金+受取手形+割引手形)÷平均月商
となります。

売掛債権回転期間が短ければ、資金繰りは楽になり、長ければ、資金繰りが厳しくなります。売掛債権回転期間は3ヶ月くらいまでなら適正ですが、3ヶ月を超えると、危険水域です。売掛債権回転期間が6ヶ月超となれば、それだけで異常視されます。
本来、売掛金のサイトは変わらないのが普通ですから、それが長期化した場合、銀行は異常事態が起きたのではないかと考えます。
支払いを手形でしてもらえれば、手形割引が可能ですので、資金繰りの好転につながります。ただ、手形は管理が面倒として、利用が減少しています。この点で、銀行としてもファイナンスがしやすくなる電子手形制度の利用拡大が期待されるところです。