債権回収に役立つ契約条項

期限の利益喪失条項

分割払いの場合、どういう場合に一括請求できるかを決めておく必要があります。このための規定が期限の利益喪失約款です。この規定がないと、相手の支払いが何回遅れても、一括請求できなくなってしまいます。

  • 手形が一度でも不渡りになったとき
    ※2回不渡りにならないと、不渡り処分にならないため「不渡り処分を受けたとき」では不十分です。
  • 営業を廃止したとき
  • 営業を停止し、または所轄政府機関等から業務停止等の処分を受けたとき
  • 解散の決議を行いまたは解散命令を受けたとき
  • 保証人の資力、返済能力につき虚偽の申告があったとき
  • 保証人が死亡したとき
  • 担保の滅失ないし価値の減少(不可抗力含む)があったとき
  • 前各号を除き、(取引先の)事業もしくは財産の状態が悪化し、または悪化するおそれがあり、債権保全の必要が認められるとき
  • 前各号を除き、信頼関係が著しく破壊されたとき
  •  

契約の解除、当然終了事項

「期限の利益喪失条項」とワンセットにするのがよいでしょう。解除はできるが期限は到来しない、期限は到来するが解除できない、ということでは不都合です。

債権譲渡の禁止条項

本来、債権自体は、自由に譲渡できるものです。しかし、自由に譲渡されてしまうと、相殺ができなくなったりして自社の債権回収が難しく恐れがあるので、譲渡自体に相手方の「事前の(書面による)承諾」を要求するのが良いでしょう。

相殺予約条項

相殺とは、自社が取引先に対して有する代金債権と、自社が負担している支払い債務を対等額で消滅させることをいいます。本来は、両債権とも支払日を過ぎていることが条件なのですが、特約により、いつでも相殺できる旨の規定(相殺予約条項)を入れておくと便利です。

所有権留保条項

買主に所有権が移転する時期を、買主が全額代金を支払ったときにすること(それまでは売主が所有権移転を留保すること)です。万が一、代金の支払いを受けられない場合、商品を取り戻すことができるようにし、損害の拡大を防ぐ目的です。与信取引では有効でしょう。

担保提供義務条項

与信取引の開始時に担保権の設定ができればいいのですが、それができない場合、担保提供義務条項を挿入しておくことも良いでしょう。

連帯保証人

万が一取引先の財産状況が悪化し支払いが困難になった場合に備えて、連帯保証人を立てておきましょう。

合意管轄

民事訴訟法では、原則訴えられる側の生活の本拠(会社なら本店所在地)、ないし、債権者の住所地を管轄する裁判所に訴えを起こすことになります。この場合、相手の本店所在地の移転リスクを負うことになります。具体的に、●地方裁判所ないし●簡易裁判所と指定する専属的合意管轄(紛争が起きた場合、当事者の所在地にかかわらず○○裁判所にすると話し合いで合意しておくこと)の検討も必要です。
外国法人との取引の場合は、仲裁規定が有用ですが、当該外国法人の国籍国がニューヨーク条約に加入していないと、相手国で仲裁の結果を強制執行で実現できません。
濫訴を防止するため「訴訟を起こす場合、相手方当事国で訴訟を提起することとする」と定めることもあります。