B型肝炎給付金の知識

B型肝炎訴訟について

  • B型肝炎がなぜ社会問題となったのか
    昭和23年7月7日乃至昭和63年1月27日までの間、国の主導の下、集団予防接種等(予防接種及びツベルクリン反応検査)が行われましたが、当時の衛生意識の低さから、消毒等の不十分な注射器が使い回しされ(連続使用)、これを通じて推定40万人以上がB型肝炎ウイルスに感染したのです。
  • 集団予防接種によるB型肝炎感染者を救済する法律

    平成23年12月9日に成立した「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」がそれにあたります。

    第1条に「集団予防接種等の際の注射器の連続使用により、多数の者にB型肝炎ウイルスの感染被害が生じ、かつ、その感染被害が未曽有のものであることに鑑み、特定B型肝炎ウイルス感染者及びその相続人に対し、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等を支給するための措置を講ずることにより、この感染被害の迅速かつ全体的な解決を図ることを目的とする。」とあり、感染者への給付金支給制度や、定期健診費用等の国による支給を定めています。

  • ツベルクリンとBCGの違いについて
    BCGは、結核予防のためのワクチンです。2005年以前は、まずツベルクリン注射をし、陽性反応が出るか(結核菌に免疫あり)、陰性反応が出るか(結核菌に免疫なし)を見て、陰性反応であればBCG接種を行っていました。2005年以降は、生後6カ月以内にツベルクリン検査をすることなく、全員にBCG接種をするようになりました。
  • B型肝炎訴訟とは?

    予防接種法等によって、幼少期に集団予防接種を強制させられていましたが、当時は注射器の使い回しが常態化していたこともあり、多数の方がB型肝炎ウイルスに感染する危険性が生じていましたが、主管官庁の厚生省(現在の厚生労働省)の肝炎ウイルスの血液感染への危機意識の低さから、その被害の発生・拡大を防止しなかったことにより、多数の方にB型肝炎ウイルス感染の被害が生じました。

    このため、集団予防接種によりB型肝炎ウィルスに感染した方が多数原告に加わり、国に対して損害賠償を求めて裁判を起こしました(B型肝炎集団訴訟)。裁判中、原告団と国との間で和解が成立し、そのときの基本合意がもとになって、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が作られ、国が被害者に給付金を支払う体制が整いました。ただ、この給付金の支給を受けるには訴訟を提起し判決を得るか、国と和解する必要があるのです。

  • B型肝炎訴訟にかかる期間

    その殆どが国との和解によって解決しています。提訴すると、2~3カ月後に裁判期日があり、弁護士が出頭し、裁判官、国の代理人と3者で今後のスケジュール確認があり、さらに概ね6カ月後に弁護士が裁判所に出頭し、その場で和解が成立します(なお、国から追加の資料等の提出を求められますと和解の成立はこれら作業が整った後となります。)。

    国との和解成立後は、社会保険診療報酬支払基金に対して給付金等の支払請求をおこない、給付金を受領します。よって、個々のケースによっても異なりますが、裁判所への提訴から和解案に基づいて給付金が支払われるまでに2~3年間かかる場合もあります。

  • 訴訟は誰を被告として起こすのですか
    被告は国になります。かつて予防接種法という法律があり、市町村長は、国が定めた病気について、国が定めた範囲の住民に対して、期日又は期間を指定して、予防接種を行わなければならないとされていました。こうして、国の政策として行われたのが集団予防接種のため、国自体が集団予防接種等によって生じた損害について、国家賠償法1条1項に基づく賠償責任を負っているのです。
  • 裁判はどこの裁判所で起こすのですか
    請求する人の住所を管轄する裁判所か、東京地方裁判所になります。東京地方裁判所では、集中審理がなされており、当事務所も東京地裁に裁判を提起しています。
  • 裁判所へ出頭される必要はありません
    B型肝炎訴訟は、書類審査で全てが解決するため、ご本人が裁判所へ出頭される必要はありません。国は、一定の条件を満たした人から裁判を起こされた場合は、和解により給付金を支払うことになっていますが、裁判は、通常2回ほど開かれ、そこで和解が成立します。
  • B型肝炎被害者向けの法律とは?

    B型肝炎が社会問題となり、国の責任を問う裁判が全国で起こされるようになりました。その結果、札幌地方裁判所がとりまとめた基本合意書案を、国が受け入れ、平成24年、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法が施行されるようになりました。

    平成27年、新たに裁判上和解が成立し、基本合意書(その2)が成立し、その内容に沿って死亡又は発症後20年を経過した死亡・肝がん・肝硬変の原告らとの和解についても国が給付金を渡すことになり、それに沿う形で同法が改正去れ、平成28年8月1日から施行されています。

  • B型肝炎ウイルスに持続感染していることをどうやって証明するのですか

    給付金を受けるには次の要件を満たしていることが必要です。

    • 病院で血液検査を受けB型肝炎ウイルスHBs抗原陽性、HVD-DNA陽性又はHBe抗原陽性のいずれかの確認が得られたら、その6カ月以上後に同じ検査を受けて、同じくB型肝炎ウイルスにつき同じく陽性が確認されることが必要です。
    • 以上の検査結果が存在しなくともHBc抗体陽性で、かつ高力価であることの検査結果がある場合。
    • 上記(1)と(2)のほか、医学的知見を踏まえた個別判断により、B型肝炎ウィルスの持続感染が認められること。
  • 満7歳になるまでに集団予防接種またはツベルクリン反応検査を受けていることはどうやって証明するのですか

    (1)ないし(2)が基本ですが、(1)、(2)がなければ(3)により証明することが許されています。(3)の証明が認められるかは裁判所の判断次第ですが、国は裁判所が判断を示した場合これを尊重することになっています。

    • 母子健康手帳の原本
      母子手帳には「予防接種の記録」というページがあり、そこにどのような予防接種を、いつ受けたかを記録するようになっています。通常予防接種として行われるのが三種混合ワクチン(百日せき・ジフテリア・破傷風)、種痘、急性急性灰白髄炎(ポリオ)等のワクチン、ツベルクリン反応検査などです。
    • 予防接種台帳
      母子健康手帳の原本を提出することができない場合でも、各市区町村が集団予防接種当時の予防接種台帳を保管していればそれを証拠に出すことができます。ただ、殆どの市区町村がこの台帳を破棄してしまっています。
    • (1)と(2)のいずれもない場合
      原告又は関係者の陳述書等により、具体的な接種状況及び母子健康手帳を提出することのできない事情が可能な限り合理的に説明され、原告に種痘又はBCGの接種痕があるとする医師の意見書があり、原告の出生時から満7歳になるまでの居住歴を確認することができる住民票又は戸籍の附票の写しが必要です。 被告の調査により予防接種台帳の保存が確認された市区町村に居住歴のある場合は、台帳に原告についての接種記録の記載がないことを証する市区町村発行の証明書がさらに必要です。
  • なぜ満7歳までという要件があるのでしょうか
    B型肝炎ウイルスに感染したのち、これが持続感染化するのは免疫機能が未発達な幼少期(6歳頃まで)に感染した場合という医学的知見や平成18年の最高裁判決がもとになっています。
  • 予防接種台帳はどの程度残っているものなのでしょうか

    厚労省が、平成30年12月7日時点で、各自治体にどの程度予防接種台帳が残っているかを調査した結果が以下の通り公表されています。

    全国1750市町村中、保存している一番古い予防接種台帳が昭和20年代という市町村が2、昭和30年代が22、昭和40年代が157、昭和50年代が504、60年代が258という結果でした。昭和50年以前は残っていない自治体が全体の9割というのが実情です。

    予防接種台帳の保存状況について(平成25年7月1日時点)

  • 原告のB型肝炎ウイルス感染が母子感染によるものではないことはどうやって証明するのですか

    以下の(1)(2)(3)のいずれかにあたることの証明が必要です。

    • 母親(母子関係を証明するため戸籍が必要)が病院で血液検査を受け、HBs抗原とHBc抗体の両方が陰性の評価を得ることが必要です。ご本人の場合は現在感染しているかを確認するHBs抗原の検査だけで足りるのですが、母親の場合は過去に感染したことがないかも確認する必要があり、そのためのHBc抗体検査が必要になるのです。なお、母親が既に死亡している場合は、母親が80歳未満の時点のHBs抗原陰性の検査結果のみで構いません。
    • 母親が既に死亡しているため、母の血液検査結果を証拠提出できない場合は、年長のきょうだい(きょうだい関係を証明するための戸籍が必要)の検査結果で代用できます。年長のきょうだいが2人いて、2人が陽性の場合でも、もう1人が陰性であれば、問題ありません。
    • 上記(1)と(2)のほか、医学的知見を踏まえた個別判断により、母子感染によるものではないことが認められること
  • B型肝炎ウイルス感染に集団予防接種等以外の原因がないことはどうやって証明するのですか

    以下のいずれにも該当しないことが必要です。

    • 裁判所提出書類中に集団予防接種等とは異なる原因の存在をうかがわせる具体的な資料があること。
    • 父がB型肝炎ウィルスの持続感染者であり、かつ、自分のB型肝炎ウィルスと父のそれのタイプ(DNA配列が同一)が同一であること。 ※父親からの感染でないことを証明するために必要となる検査です。
    • 自分のB型肝炎ウィルスのジェノタイプがAe型であること。 ※自身のジェノタイプが特定でき、平成7年以前に感染した場合は(3)の要素の検討は不要です。
    • ジェノタイプAeのB型肝炎ウイルスは、成人後の感染であっても、その10%前後が持続感染化することが知られています。日本では、このジェノタイプAeのB型肝炎ウイルスは、平成8年以降に感染例が確認されています。このため、平成8年1月1日以降にB型肝炎ウイルス感染が確認された方については、ジェノタイプの検査結果の提出を求めることとし、仮にジェノタイプAeであれば、成人後に感染した可能性があると判断されます。

      上記のほか、医学的知見を踏まえた個別判断により、集団予防接種以外のB型肝炎ウィルスへの持続感染の原因が見当たらないと認められた場合は、その証明ありとなります。

  • 母が集団予防接種の連続使用が原因でB型肝炎ウィルスに感染したため、自分もB型肝炎ウィルスに感染した場合はどうなりますか

    以下が証明されれば、給付金を受けることは可能です。

    • 母親が、(1)昭和16年7月2日から昭和63年1月27日までに生まれたこと、(2)B型肝炎ウイルスに持続感染していること、(3)満7歳になるまでに集団予防接種またはツベルクリン反応検査を受けていること、(4)B型肝炎ウイルス感染が母子間の感染によるものではいこと、(5)母親のB型肝炎ウイルス感染に集団予防接種等以外の原因がないことの証明ができること。
    • 次のいずれかの事由が存在すること
      • (2-1) 自分が出生直後にB型肝炎ウィルスに持続感染したと認められること。
      • (2-2) 自分のB型肝炎ウィルスのDNA配列(塩基配列)が母のそれと同一であること。
      • (2-3) 以下のⅰないしⅲの事実があること
        • ⅰ 自分の出生前に母の感染力が弱かったこと(HBe抗原が陰性であったこと)が確認されないこと。
        • ⅱ 自分が昭和60年12月31日以前に出生していること。
        • ⅲ 以下の ア ないし ウ のいずれの事実もないこと
          • ア.B型肝炎ウィルスの持続感染について母子感染とは異なる原因の存在をうかがわせる具体的な資料のあること
          • イ.父がB型肝炎ウィルスの持続感染者であり、かつ自分と父のB型肝炎ウィルスのDNA配列(塩基配列)が同一であること。
          • ウ.自分のB型肝炎ウィルスのジェノタイプがAe型であること。

    上記(1)と(2)のほか、医学的知見を踏まえた個別判断により、自分の持続感染が母からの母子感染であると認められること。

  • 現に治療を受けているとはどういうことを言うのでしょうか

    以下の(1)か(2)のいずれかの事由がある場合を言います。

    • 訴訟提起日の1年前の日以降の時点で、同時点後6カ月以上をおいた別の時点で、B型肝炎ウィルスによるALT(GPT)値の異常が認められること。
    • インターフェロン、核酸アナログ製剤、ステロイド又はプロパゲルマニウムのいずれかによるによるB型肝炎治療歴があること。

      核酸アナログ製剤にはラミブジン(商品名ゼフィックス)、アデホビル(商品名ヘプセラ)、エンテカビル(商品名エンテカビル、バラクルード)、テノホビル(商品名テノゼット、ベムリディ)があります。

    プロパゲルマニウムは商品名セロシオンという薬剤名で知られています。

  • 肝硬変の重度、軽度はどのようにして分けているのでしょうか
    肝性脳症の有無・程度、腹水の有無・程度、血糖アルブミン値、プロトロピン時間、血清総ビリルビン値の有無・程度によって1点・2点・3点に点数化が図られ、90日以上を置いた2時点で、合計点10点以となった場合が重度であり、それに至らない場合が軽度になります。
  • 裁判に必要となった検査費用は支給されますか

    父と自分のB型肝炎ウイルスの塩基配列についての検査が必要となり、これを行い、裁判上この検査結果を用いて和解が成立した場合には、給付金等と合わせて支払基金から検査費用として65,000円が支給されます。

    平成7年12月31日以前に持続感染したことが確認できない場合、B型肝炎ウイルスのジェノタイプがAeではないことを証明する検査結果が必要です。この検査結果を用いて和解が成立した場合には、主要な遺伝子型を判定する検査については2,300円(保険給付がない場合には8,500円)、ジェノタイプAaまたはジェノタイプAeを判定するための検査について15,000円が、給付金等と合わせて支払基金から検査費用として支給されます。

    上記両検査が行われても、和解が成立しなかった場合には、検査費用は各自の負担となります。

  • 弁護士費用はどうなりますか
    当事務所は給付金の12%を成功報酬としていただいていますが、国から弁護士費用の補助として給付金の4%相当額が支給されるため、お客様が実際に負担する報酬は給付金の8%分です。もちろん完全成功報酬制ですので、給付金が支払われた場合に、その給付金の中からいただくことになっています。
  • 裁判で和解が成立するとすぐに支払われるのでしょうか
    裁判所から発行された和解調書やその他必要書類を整えた上で、社会保険診療報酬支払基金に支給請求すると、概ね50日後に指定口座へ支払われることになっています。
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