【刑事弁護】トラック過労運転で事故、会社社長が逮捕

2015年10月29日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

ホームワン 刑事弁護チームです。

兵庫県内の高速道路の路肩で仮眠するため駐車していたトラックを端緒に,その運転手の供述から,運転手の過労運転を指示していたとして,運送会社の社長が逮捕されました。

(自動車の使用者の義務等)
第七十五条  自動車(重被牽引車を含む。以下この条,次条第一項及び第七十五条の二の二第二項において同じ。)の使用者(安全運転管理者等その他自動車の運行を直接管理する地位にある者を含む。次項において「使用者等」という。)は,その者の業務に関し,自動車の運転者に対し,次の各号のいずれかに掲げる行為をすることを命じ,又は自動車の運転者がこれらの行為をすることを容認してはならない。
            (省略)
四  第六十六条(過労運転の禁止)の規定に違反して自動車を運転すること。

第百十七条の二の二  次の各号のいずれかに該当する者は,三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
            (省略)
十  第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第四号の規定に違反した者(前条第五号に該当する者を除く。)※前記「前条第五号」 とは,指定された薬物等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転した者をいいます。

運転手の行為は,道路交通法違反(駐停車禁止)であり,もし,追突事故が起きた場合は,追突された側ではありますが,本件は,仮眠のために,高速道路の路肩に停めていたという,情状としてもかなり悪質な事案のため,自動車運転処罰法の過失運転致死傷罪に問われる可能性も否定できません。

さらには,運転手には,刑事責任のみならず,民事上も,損害賠償責任が認められ可能性があります。通常,駐車違反が原因でこうした事故を起こした場合,加害者対被害者の過失割合は数十%ほどですが,本件は,その悪質性ゆえ,かなり高い割合になる可能性があります。