【刑事弁護】ストーカー規制法違反で逮捕された競輪選手,脅迫罪で罰金に

2015年07月24日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

ホームワン 刑事弁護チームです。
元交際相手に対するストーカー規制法違反で逮捕された競輪選手に,脅迫罪で罰金30万円の略式命令が発付されました。
逮捕時は,競輪選手が女性に対し,8日間で14回にわたり連続して電話したほか,「お互い社会的信用がなくなるが,いいと思っている。」等のメールを2日間で計3回送信したストーカー規制法違反容疑でした。
ストーカー規制法第2条第1項第5号は,同法の「つきまとい等」の定義の1つとして
「電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。」
と書かれています。
同条第2項では
「この法律において「ストーカー行為」とは,同一の者に対し,つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については,身体の安全,住居等の平穏 若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。」
と定められていますので,ストーカー行為に該当するためには,「つきまとい等」を反復してする必要があります。
本件に関し,ストーカー規制法違反で処罰するには,同法14条の「禁止命令等(第5条第1項第1号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行 為をした者」として罰するか(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金),第13条で「ストーカー行為をした者」として罰するか(6月以下の懲役又は50 万円以下の罰金)の何れかが考えられます。
本件は禁止命令を経ずに逮捕したためと思われますが,「つきまとい等」を反復したと言えるかが問題になります。本件は,8日間で電話14回,2日間でメー ル3回というものですが、「つきまとい等」を反復したと言えるかは微妙なところで、検察も判断に苦しんだものと思われます。
そのため「お互い社会的信用がなくなるが,いいと思っている。」という発言が,脅迫にあたるとして,脅迫罪で略式起訴をしたのかもしれません。ただ,この 発言だけで脅迫と言えるかは微妙な気がしますので,電話当時の周辺状況,前後の発言も捉えて,脅迫としている可能性もあります。