【交通事故】一定の病状を理由にした免許の取り消しや停止が前年比2.5倍に

2015年07月21日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

ホームワン 交通事故チームです。

てんかん・統合失調症などの病気により,車の正常な運転をできない状態であるにもかかわらず車を運転した結果生じた重大事故が相次ぎ,こうした事故を防ぐため,改正道交法が,平成25年6月7日に成立し,平成26年6月1日より完全施行されています。

この結果,1)運転免許取得ないし更新の際,に一定の病気等に関する症状の質問をすることが可能になり,2)症状があるにも関わらず虚偽の回答をして免許を取得または更新した者は,1年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑を受け,3)こうした病気の症状がある患者を診察した医師が,任意で患者の診断結果を公安委員会に届け出ることができるようなり,4)交通事故を起こした運転者が一定の病気に該当すると疑われる場合は,専門医の診断による取消処分を待たずに,暫定的な免許の停止措置もできるようになりました。

今回,警視庁の7月16日付発表によると,改正法が施行された昨年6月から今年5月までに11万1489人が病状があると申告したことがわかりました。
病状を理由にした免許の取消や停止は7711件あり,前年の同じ時期の2.5倍に増えました。
改正法では,病状を虚偽申告した場合の罰則が設けられましたが,全国の8県警が8人を摘発していました。
免許取消や停止の理由となった病気の内訳は,てんかん2313件,認知症1165件,統合失調症1006件です。免許を取得・更新する全員に病状を質問票で尋ねているほか,本人や家族が申し出ることもあるそうです。

道路交通法(昭和35年法律第105号)
第90条 公安委員会は,前条第1項の運転免許試験に合格した者に対し,免許を与えなければならない。ただし,次の各号のいずれかに該当する者については,政令で定める基準に従い,免許を与えず,又は6月を超えない範囲内において免許を保留することができる。
1 次に掲げる病気にかかつている者
イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
ハ イ又はロに掲げるもののほか,自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがあ
る病気として政令で定めるもの
1の2 介護保険法第5条の2に規定する認知症である者
2 アルコール,麻薬,大麻,あへん又は覚醒剤の中毒者
以下略