【刑事弁護】石原元都知事のファン、ストーカー規制法違反で事情聴取

2015年07月15日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

ホームワン 刑事弁護チームです。

石原元都知事宅でピンポンダッシュを数回行ったとして,ストーカー規制法違反で男性が事情聴取されているようです。

記事を見ますと,この男性は,石原元都知事の大ファンで会いたかったと書かれています。

ストーカー規制法第2条に同法の「つきまとい等」の行為が定められていますが,同条第1項第4号では(特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で)「著しく粗野または乱暴な言動をすること」も「つきまとい等」と定められています。

また,同条2項で「つきまとい等」を同一の者に対して反復等して行う行為を「ストーカー行為」として定義され,同法第3条以降により,「ストーカー行為」が警告や禁止命令等,若しくは罰則の対象となっています。

前記の「著しく粗野または乱暴な言動」の手段については,特に限定されておらず,今回はピンポンダッシュが該当したものと考えられます。
 
この事件を聞いて思い起こされるのは,市川猿之助さんに対するあるファンの付きまとい行為に関する大阪地裁の判決です。

このファンの異常な付きまとい行為に対し,裁判所は慰謝料の支払いを命じるとともに「原告が出演する劇場に立ち入ってはならない。」「原告の所在地から半径200メートル以内の近隣を徘徊して,原告の身辺につきまとってはならない。」「原告の支持者等の第三者に対し,原告の名誉や信用を毀損したり,業務を妨害する言動に及んではならない」という判決を下しました(大阪地裁平成10年6月29日)。

この判決が出たときはストーカー規制法はありませんでしたが,もし立法後であれば,このファンにも同法が適用された可能性があります。

なお、恋愛感情等がなかった場合や,反復行為がなかった場合などは,軽犯罪法1条28号の「他人の進路に立ちふさがって,若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず,又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者」に抵触する可能性もあります。