お盆に相続を考える

2014年8月5日に文化放送「くにまるジャパン」に出演した際に話した内容を掲載しています。 テーマは「お盆に相続を考える」です。

パーソナリティ
お盆が近づいてきました。この週末から田舎に帰り、家族や親戚と再会するという方もいらっしゃるでしょう。
弁護士
普段、めったに会わない家族が顔を揃えるこの機会に、「相続」について話し合われてみてはいかがでしょうか。
このコーナーでは「遺言書を作りましょう」と、繰り返しご案内してきました。血を分けた家族同士の、トラブルを避けるためにも。ぜひお勧めしたいですね。
パーソナリティ
遺言がない場合は、どうやって分けるんでしょう?
弁護士
だれがどの財産をどれだけ相続するか、相続人全員で話し合って決めます。これを「遺産分割協議」といいます。
基本的には、法律で定められた「法定相続分」に従います。たとえば妻と子供2人、という場合は、妻が半分、子供は4分の1ずつ…ということになっています。
  
パーソナリティ
決まってるなら、それで問題ないのでは…?
弁護士
確かに、相続財産がすべて現金なら「定められた通り」の分け方で、話がつくかもしれません。
でも、財産が土地・建物だけ、という場合、ぴったり3等分は不可能ですよね。また独立して自分の家を持っている人なら、できれば現金がほしい、というのが人情ではないでしょうか。
パーソナリティ
それで話し合いが必要になる、ということなんですね。
弁護士
ただ「相続人全員」というハードルはかなり高いんです。関係者が多ければ、全員が納得するのは難しいですし、音信不通の相続人がいるケースも珍しくありません。
一人でも欠けると「遺産分割協議」は無効になってしまいます。
一方で、全員が納得していれば、法定相続分とも、遺言書とも関係なく遺産を分けることができるんです。
パーソナリティ
具体的には、どんなケースですか?
弁護士
たとえば父親が亡くなって、妻と子供2人が残った場合。財産が家しかなければ、子供たちが母親に「僕らはいいから、母さん住み続けてよ」と申し出ることがあると思います。
遺産を現物で分ける、このやり方は「現物分割」と言います。妻の取り分が100、子供2人の取り分がゼロで円満解決ですね。
パーソナリティ
子供が納得しないと、別の方法を考えないといけませんよね。
弁護士
その場合、「代償分割」という方法が考えられます。今のケースで、家に4000万の価値があるとしたら、妻は2000万円分、子供はそれぞれ1000万円分の取り分があります。そこで、子供の取り分を、妻が現金で渡して解決する、というやり方です。
パーソナリティ
ただ現実的にお金を用意するのが難しい場合もありますよね。
弁護士
そういう場合は「換価分割」という方法があります。「換価」とは交換の換に価格の価、つまりお金に換えること。相続財産を売って現金に換え、それを分けるやり方です。ただこの場合、住んでいた家を出なければいけませんし、新たに住居費も必要になります。できれば避けたいですよね。もめ事に発展する可能性が高いです。
パーソナリティ
そういうトラブルを避けるために遺言書があるといいですね。
弁護士
はい。また、日頃から万一に備えて、相続について、腹を割って話し合えるような人間関係を作っておくことが大切なんです。お盆は、そのための、いいきっかけになると思いますよ。

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