交通事故 発覚免脱罪とは

2014年7月22日に文化放送「くにまるジャパン」に出演した際に話した内容を掲載しています。 テーマは「交通事故 発覚免脱罪とは」についてです。

パーソナリティ
先週は、脱法ハーブによる暴走事故と、「危険運転致死傷罪」についてのお話でした。
池袋の事件では多くの死傷者が出ましたが、ここで発見された物質が禁止薬物に指定されたそうですね。
弁護士
そうなんです。容疑者のクルマから「脱法ハーブ」が見つかりましたが、ここに含まれていた2つの物質が、薬事法上の禁止薬物に、緊急で指定されました。
近代刑法には、犯罪の内容は「予め」法律で定めておかなければならないという、罪刑法定主義があります。 そのため、禁止薬物の指定を受ける前の池袋の事件にさかのぼって、薬事法が適用されるわけではありません。が、今後はこの2つの物質の製造、販売、所持、使用が禁止されることになりました。
迅速な対応に、社会的な影響の大きさが現れていると思います。
パーソナリティ
法律に触れないものについてもチェックしていこうという流れになっていますね。誰もが巻き込まれる可能性がある問題ですから、きちんと取り締まってほしいものだと思います。
さて、禁止薬物ではありませんが、運転する上で危険なのが「お酒」。最近、飲酒運転とひき逃げのニュースも多いですね。
弁護士
北海道の小樽では、半日近くも飲酒を続けていた容疑者が、海水浴帰りの女性4人を跳ね飛ばして、うち3人が亡くなりました。また埼玉の川口では、女性をはねた後、1.3キロも引きずり、死亡させた疑いで市の職員が逮捕されています。
パーソナリティ
怒りの持っていきようをどこにすればいいんだ、っていうかんじですよね。
弁護士
このうち、川口の事件では、容疑者は事故からおよそ6時間後に出頭。逮捕直後は「事故の後に酒を飲んだ」と主張していましたが、その後「酒を飲んで運転した」と供述を翻したそうです。
飲酒運転の発覚を免れるために逃げた可能性があるとして、5月に施行された「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」の「発覚免脱罪」を視野に入れて 捜査している、という報道がありました。
パーソナリティ
あまり聞かないですけれども「ハッカク メンダツ」…どういう字を書くんでしょう。
弁護士
ハッカクは事件が発覚するの発覚。メンダツは、免除の免に、脱走の脱。これは自動車運転処罰法で新しく作られた条文です。
以前から、飲酒運転で事故を起こした後、現場から逃げて、アルコールが抜けるのを待ったり、大量に水を飲んだり、あるいは逆にお酒を飲んでしまって、事故を起こしたときに、どれだけ酔っていたか分からなくする行為が問題となっていました。
パーソナリティ
冗談じゃないですよね!
弁護士
そんな「逃げ得」を許さないため作られたのが発覚免脱罪です。酒や薬物の影響による事故の発覚を免れようとする行為に適用されます。従来のひき逃げと合わせ、上限は18年です。
パーソナリティ
 
これだけ飲酒運転の危険が言われているのですから、本当に飲酒運転をなくさないとダメですよね。
弁護士
「飲んだら乗るな」を徹底したいですね。警察庁の統計では、7月は、10月から12月に次いで飲酒事故の多い時期。飲酒運転については、車を提供した人、酒を提供した人、飲酒をすすめた人、飲酒を知ってクルマに一緒に乗った人も、罰せられる可能性があります。
また夏休みは、飲酒していなくても、観光や帰省などの行き帰りで、交通事故が増える季節です。せっかくのバカンスですから、安全運転を心がけていただきたいですね。

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