文化放送『くにまるジャパン 極』に小杉直樹弁護士が出演/440回テーマ 「相続 遺産分割の無効」編

2017年08月29日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の小杉です。

本日の『くにまるジャパン 極』では,今週も相続というテーマで「遺産分割の無効」についてお話ししてきました。

誰が何をどう相続するかを決める「遺産分割協議」,怖ろしいほど気を遣う作業が終わり,ようやく「遺産分割協議書」が出来上がりました。ところが,後から分割の対象になる不動産が見つかってしまった。

このような場合,また一からやり直しになるのかと心配に思われる方もいるかもしれません。そういうこともままありますが,一つくらい抜けていたとしても,それでせっかく成立した協議が,全部無効になることはありません。多くの場合,新たに見つかった遺産についてだけ,もう一回,遺産分割協議書を作れば大丈夫です。

ただ,その新たに見つかった遺産が,非常に価値のあるものだった場合,話は少し複雑になります。もし最初の協議のとき,その価値のある遺産があることが分かっていたら,違う結論が出たと考えられる場合は,やはり無効になってしまうこともあり,その場合は,もう一度やり直し,ということになります。

本当は一番親しい間柄の人たちが,お金や不動産を巡って生臭い話をしなきゃいけないわけですから, 基本的には,皆さん,遺産分割でもめたくない,という気持ちをお持ちです。そこで,協議の場で,込み入った話を避けて,言われるままにハンコを押してしまう,という方も,時々いらっしゃいます。そのようなことがあると,後になって,「そういうつもりじゃなかった」「あの時は勘違いしていたから,もう一度やり直してくれ」という話が出たりします。

ここでいう勘違いとは,法律的には「錯誤」と表現します。我々はこういう場合,「遺産分割協議の重要な部分について,錯誤に陥っていたので,協議は無効である」といった形で主張することになります。実際,ほとんど遺産はない,とほかの兄弟に聞かされて,遺産はいりません,という協議書にハンコを押したら,実は多額の現金が口座に眠っていた,というケースもあります。

ほとんど遺産はない,と聞かされていた,ということは,騙されたようなものですから,無効じゃないか…と思うのが,人情ですよね。でも,たくさん遺産をもらえた人にしてみれば,ちゃんと納得してハンコ押したのに,今更何を言っているのか…ということになるでしょう。

実際の事件にはいろいろな背景があり,それによって,結論も千差万別です。ですから,遺産分割協議書に署名して,実印も押してしまったからといって,それが絶対に有効で,取り返しがつかない,というものでもありません。

先ほどお話した「錯誤」によって無効になる可能性はあります。このあたり,法律的にもけっこう難しいところなので,遺産分割について,どうしても納得いかない事情があれば,お気軽にご相談いただきたいです。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇440回テーマ
 「相続 遺産分割の無効」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 小杉直樹 弁護士