文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/420回テーマ 「重婚って何?」編

2017年04月11日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

今日は「重婚」についてのお話しです。
去年の11月,北九州でビックリ仰天の事件が起きました。結婚披露宴会場に,新郎側の親類縁者が一人も来ないので,どうしたの,と新婦が新郎を問い詰めると,「実は私には妻がいる。ずるずるとこうなってしまった」と,衝撃の告白をされたというのです。

既に結婚している人が更に結婚すると,「重婚罪」に問われます。
刑法184条では「配偶者のあるものが重ねて婚姻をしたときは,2年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をしたものも,同様とする」と定められています。2年以下ということで,かなり重罪です。
ただ,今回のケースは,まだ婚姻届が出ていなかったので重婚罪にならず,この男性も懲戒処分は受けたものの職場復帰しています。法律によっては,事実婚が婚姻関係として認められますが,重婚罪の場合は法律婚のみが対象となるのが一般的です。

重婚となる場合,離婚届や死亡届を偽造するケースなどが考えられますが,日本の戸籍制度はかなりしっかりしていますし,そこまでして重婚する人はいないと思うので,そうそう起きにくいことではあります。
ただ,問題になりやすいのは,結婚のお相手が外国籍の方で,特に相手の国が一夫多妻制が認められている場合です。たとえば,一夫多妻制が認められているミャンマーの方がミャンマーで先に妻を持ち,その後来日されて,日本で日本人の女性と結婚したら,どうなるでしょう。

外国人との法律問題では「法の適用に関する通則法」という法律によって,どこの法律が適用されるか決められています。婚姻の成立についてはその人の国籍によって適用する法律が決まります。日本国籍なら日本の法律,ミャンマー国籍ならミャンマーの法律ということになります。また婚姻をした国の法律で,婚姻の方式が定められます。日本で結婚するなら,婚姻届を出す必要がある,ということです。
ただ,一夫多妻制が認められるには,男女両方の国で,この制度が認められていないとダメです。日本では認められないので既に妻がいるミャンマー人男性が日本で日本人女性と結婚するのは「重婚の禁止」に当たることになるので,結婚することはできません。

とはいえ,日本人女性が,相手のミャンマー人男性の婚姻の事実を知らずに結婚した場合,それで罪に問われたら困ってしまうと思います。
そういう事態を防ぐため,外国籍の方と日本で結婚する場合には「婚姻要件具備証明書」,この人は結婚しても大丈夫な人ですよ,年齢的にも問題ないし,ちゃんと独身ですということを証明する書類が必要となります。

ただ,海外で婚姻する場合,日本のような厳密なチェックがない場合もあるので,注意が必要です。国際結婚も少しずつ増えてきていますから,国際離婚や国際的な相続問題など,複数の国の法律が絡むトラブルも増えていきます。そうした場合,しなくてもいい損をしないよう,まず専門家に相談されることを強くお勧めしたいと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇420回テーマ
 「重婚って何?」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士