文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/414回テーマ 「子供とスマホのセキュリティ」編

2017年02月28日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

今日は「子どもとスマホ」にまつわる話題です。先日,アメリカで6歳の女の子が,母親の昼寝中に,寝ている母親の指をスマホに近づけて指紋認証ロックを解除,250ドル分の買い物をするという事件が起きました。
これが,もし日本で同じようなことが起きた場合どうなるかというお話しです。

まず,お子さんの年齢によって対応が変わってきます。4~5歳までなら,自分でやっていることの結果を判断できる力,法律的には「意思能力」と言いますが,その能力がまだないので,法律上,契約は最初から無効です。
親御さんは問題なくキャンセルできます。
もう少し年齢が上がって,7歳から10歳,つまり小学校入学から4年生くらいになると一般的に意思能力があると言われています。ただ,これはあくまでも目安です。そのくらいの年齢であれば,まだ自分名義の口座やカードは当然,持っていないでしょう。もし買い物ができたとしたら,親の名義でないと無理,いわば親になりすましているわけです。
ただ,ここで注意が必要なのは,多くのクレジットカード契約では,カード自体やその情報の管理が不適切だった場合や,会員の家族・同居人がカードを使用した場合などには「カード会員に支払い義務が生じる」と書かれていることです。
つまり,子どもが親名義のカードで決済してしまうと,親に支払い義務が生じて,例外的な場合を除いて,代金支払いをキャンセルできなくなるとお考えください。

さらに年齢が上がり,高校生くらいだと,自分の名前での買い物が普通になって,スマホでも大人と同じ買い物ができるようになりますよね。
ただ法律上,未成年者が親御さんなど親権者の同意を得ないでした行為は,未熟な未成年者を守るために取り消す,すなわちキャンセルできるのが原則です。スマホを通して行うような電子契約の場合でも,これは変わりありません。
ただし,例外的にキャンセル出来ない場合もあります。
未成年者がわざと,自分がオトナだと嘘をついた場合です。これは法律上,「詐術を用いた」と言いますが,相手がそれを信じてしまったら,嘘をつかれた相手の方を保護するということです。
どのような場合に「詐術を用いた」とするかは,ケースバイケースで判断しなければなりませんが,買い物サイトでよくある「成年ですか?」との問いに「はい」とクリックしただけ,また年齢確認画面や生年月日の入力画面に,嘘を入力しただけ…といった場合では「詐術を用いた」とは言えないと思います。
ただ,未成年者の年齢や具体的な確認画面表示によっては「詐術」と判断されることもあり得ると思います。

冒頭の例でいえば,スマホのセキュリティを高めるはずの指紋認証が,かえってトラブルの元になってしまうというのは皮肉な話ですが,スマホ社会ではお子さんの年齢に合わせて対策が必要だと思いますね。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇414回テーマ
 「子供とスマホのセキュリティ」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士