文化放送『くにまるジャパン 極』に小杉直樹弁護士が出演/412回テーマ 「聖バレンタイン・デイの法律学」編

2017年02月14日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の小杉です。

本日は2月14日ということで,「バレンタイン・デーの法律学」というテーマで,お話をしてきました。一般の方が今日,贈り物をしても何の問題もないですが,例えば,政治家が有権者に…となると,法律違反になります。

ただ,基本的には,本命でも義理でも,渡したければ自由にプレゼントすればいいだけの話ではあります。
しかし,少々問題となるのは,社内での場合です。基本的にバレンタイン・デーは,女性社員から男性上司に義理チョコを渡すケースが多いと思います。会社によっては,女性社員がお金を出し合って上司にチョコを贈る習慣もあるようで,これは断りにくいでしょうし,事実上の強制にあたります。法律的には,会社は,労働者が快適に働けるよう,職場の環境に配慮する義務を負っています。こうした習慣があるとすれば,会社が「職場環境配慮義務」に違反していると言えそうです。もしこうした状態であれば,会社としてきちんとルールを定める必要があるでしょう。

実際に,会社のルールとして「バレンタインのチョコ禁止」を定めている会社もあるようです。義理で贈るのも面倒だし,受け取る側もお返しの負担が大きい。それならいっそのこと禁止しちゃおう,ということです。部下から禁止にして,とは言いづらいですから,上司が率先して「義理チョコ禁止」を打ち出すのはいいことだと思います。基本的には仕事に全く関係ない話ですから。

ただ実際,義理チョコが苦痛だからといって,それがすぐにセクハラやパワハラと認定され,会社の責任が問われるようなことにはならないとは思います。しかし,今時,女性社員がお金を出し合って義理チョコを買うような会社は,従業員の労働環境,職場環境に関心が低いと思われても仕方ないかもしれません。

そして,同じことがホワイト・デーでも言えます。同じ職場で人間関係を考えると,チョコをもらったら「お返し」が不可欠です。世間では「3倍返し」なんて言葉もあるようですが,実際にそうだとすると,これは男性に対する「パワハラ」に当たります。たとえば10人から一人あたり300円のチョコをもらったら,3倍返しなら一人あたり900円,かける10で9千円!
お返しだけで大変な出費になってしまいます。

義理か,本命か,よくわからない,その危ういところが,人情の機微…みたいなところもありますが,基本的には,職場にバレンタインを持ち込むのはやめておいたほうがいいかもしれません。
もちろん,プライベートでは大いにやっていただいて結構ですが,法律の立場から考えると職場への持込は,問題となる可能性もありますので,どうぞご注意ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇412回テーマ
 「聖バレンタイン・デイの法律学」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 小杉直樹 弁護士