文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/410回テーマ 「労働審判って何だろう?」編

2017年01月31日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

本日のテーマは「労働審判」です。
今から13年前,平成16年に労働審判法という法律ができ,2年後の4月から,この制度が始まりました。
まだ歴史も浅く,初めて聞く,という方も多いかもしれませんが,主に残業代が払われないとか,クビにしたのは正当か不当か,といった労働に関する争いを解決するための制度の一つです。
申立は,働く側,使用する側,どちらでも可能ですが働く側,つまり労働者が申し立てるケースがほとんどとなっています。

労働審判は,裁判所の手続きではありますが,裁判とは少し違います。
まず,審判をする側が,裁判官だけでなく,使用者側の審判員,労働者側の審判員も含めた3人で構成されます。使用者側は経団連など,労働者側は連合などから推薦され,両方の立場からの視点が反映される仕組みになっています。ただ,双方が労使の利益代表として判断するのではなく,公平な立場からの判断が求められているので,使用者側審判員が会社に厳しいことを言ったり,その逆のパターンもあります。

そして,審判は法廷ではなく,会議室の様な場所で楕円型のテーブルに,審判する側,労働者側,使用者側が一同に会して行われます。審判側が質問をして,労働者側,使用者側が答える形です。質問は裁判官が中心で,労働者側・使用者側,両者の質問は補足する程度で行われます。
具体的な流れは,最初の1~2時間,裁判官や審判員から質問があり,その後,双方の当事者は廊下に出されて,裁判官,審判員が評議します。
30分ほどで別々に呼ばれ,例えば解雇を争うケースでは,会社の方には「争い続けても認められない可能性があるし,その間,給与が発生するから,和解した方がいいよ」とか,労働者の方には「裁判になって負ける可能性もあるし,そうなったらお金も一切貰えない」などと諭される訳です。
解雇の場合,裁判でどちらが勝つか予想が難しいことが多いです。ただ,判決はオール・オア・ナッシング,負ければゼロです。負けると不利益が大きいので,話し合いで決着できるなら早い方がいい,というのが裁判所の考え方という訳です。

労働審判の良いところは,普通の裁判は1年くらいかかったりしますが,労働審判は3回以内で決着がつくことになっていて,1回こっきりで終わることもあります。
短期間で結論が出るメリットは大きいのですが,必ずしも全部の裁判所で行っている訳ではありませんし,証人尋問のような形で本人が答える必要もありますので,詳しくは,専門家である弁護士にお問い合わせいただきたいと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇410回テーマ
 「労働審判って何だろう?」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士