文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/357回テーマ 「契約社員の雇い止め」編

2016年01月19日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

本日は,契約社員の雇い止めについてお話ししてきました。

契約社員といわれて,パートやアルバイトで勤務されている方を想像される方が多いと思いますが,正確にいうと,雇用契約期間が何か月,何年という単位で「期間」を決めて雇われている社員のことを指します。

こういった方に対し,そろそろ更新というときに会社が突然「もう契約更新はしません」と告げてくる。これが「雇い止め」と言われるものです。

契約期間を定めて雇用しているのは会社側ですから,会社側に更新の有無を決める権利があるように思われますが,法律上,これが認められない場合があります。

労働契約法19条では,雇い止めが認められないケースとして,次の2つを定めています。

1つは,契約上は期間が設けられていても,運用がズルズルになっていて,実質ないも同然になっている場合です。たとえば,契約更新に際して店長との面接もなく,期間満了間際に契約書を渡され,署名するように言われる…。こういった形でどんどん契約が伸びてきた場合。

もう一つは,更新手続きはきちんと行われているけれど,契約社員の側に「また更新してもらえるはず」という期待がありその期待に合理性が認められる場合。

たとえば正社員と同じ仕事で,何度も更新の実績があり,本人も引き続き働けるだろうと期待している。こうした2つの場合には,更新しないことについて,客観的かつ合理的な理由があり,社会通念からしても相当…と,認められる場合でなければ,雇い止めはNGです。

労働契約法のもとになった判例ですが,2か月の契約を23回も更新し続けたのに,雇い止めとなった。これは許されないという判決あります。

ただ,去年7月,東京地裁で,あるコーヒーチェーンのアルバイトの方が,3か月の契約を33回更新したけれど,34回目はなかった。
更新回数だけ見るとおかしいと感じますが,この方の場合,他のアルバイトも掛け持ちしていて,一か月に5日程度しか働いていなかったということで,雇い止めが認められました。

雇い止めの問題は生活の破綻と直結しています。法律の専門家でないと判断のつけにくい問題ですから,突然申し渡されて途方に暮れているという方は,弁護士にご相談いただくか,労働基準監督署の相談窓口にお出かけになることをお勧めしたいですね。


【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇357回テーマ
 「契約社員の雇い止め」編
◇出演
 番組MC 太田英明さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士