文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/356回テーマ 「女性の再婚禁止期間,違憲判決!」編
2016年01月12日
弁護士法人 法律事務所ホームワン
代表の中原です。
今日は,去年の暮れにでた最高裁判決の中で,「再婚禁止期間」の違憲判決についてお話しをしてきました。
民法では,女性は離婚してから6か月,つまり180日間を経過した後でないと再婚できないと定められています。一方,男性にはこの定めはなく,離婚後すぐ再婚できます。
これは,離婚後に生まれた子の,「法律上の」父親は誰か,ということに関係しています。
民法772条では,母が元夫との離婚後,300日以内に子を出産した場合には,元夫の子と推定され,他方,同じ条文で,母が結婚した日から200日を経過した後に生まれた子は,現在の夫の子と推定されると規定されています。
そうすると,例えば,離婚した翌日に再婚し,再婚の日から201日後に子を出産した場合は,その子供は,元夫の子(離婚後300日以内)であり,かつ,現在の夫の子(結婚後200日経過後)であると,二重に推定されることになります。
こうした事態を避けるために6か月の再婚禁止期間を定めているわけですが,再婚禁止期間のうち二重の推定を防ぐためには,180日ではなく100日あれば足ります。そのため,今回の最高裁の判決では,女性だけに再婚禁止期間を設けた民法の規定を違憲と判断したわけなんです。
この規定ができた当時は,推定の重複を避け,父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐために,100日を超えた期間を再婚禁止期間とする事も合理性があったとされていますが,その後,医療や科学技術が発達した今日では,そのような幅を設けることを正当化する事ができなくなったとされています。
法務省は,離婚後100日を過ぎた女性が婚姻届を出したら受理するように,と全国の市町村に通知したそうです。また,補足意見として,不妊手術を受けたり,妊娠していない女性であれば,100日以内でも適用除外を認めてもよい,と法令の解釈を示しています。
【出演情報】
◇日時
毎週火曜 9:45~
◇放送局
文化放送(関東エリア)
◇番組名
『くにまるジャパン』
◇コーナー名
「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇356回テーマ
「女性の再婚禁止期間,違憲判決!」編
◇出演
番組MC 野村邦丸さん
番組パーソナリティ 鈴木純子さん
法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士