文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/348回 テーマ「性犯罪の厳罰化」編

2015年11月10日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

今日はほぼ1か月ぶりに『くにまるジャパン』に出演しました。

お話ししたテーマは「性犯罪の厳罰化」。

現在,刑法を改正する作業が始まっていて,今回の改正では「強姦罪」の刑罰が,「3年以上の懲役」から「5年以上」になる見込みです。
現在,強姦罪は懲役3年以上で,強盗罪は5年以上です。強姦罪が強盗罪より刑が軽いのはおかしい,という意見が強く,今回の改正で強盗罪と同じ「5年以上」になりそうです。
ただ,法律の世界では,3年と5年では,単純に2年長くなる,というだけでなく,より重い意味合いがあります。
法律上,懲役が3年を超える場合,執行猶予が認められず,実刑になります。つまり,強姦罪が最低でも5年の懲役刑ということになると,有罪判決の場合,よほど被告人に有利な事情がない限り実刑になります。

また,被害者の「告訴」が必要かどうかという議論もあります。
強姦罪や強制わいせつ罪では,被害を受けても,あまり表沙汰にしたくない,という方もいらっしゃるので,現状では被害者が告訴しない限り,加害者は処罰されません。被害者の方が泣き寝入りすることで,加害者が処罰を免れる…果たしてこれでいいのか,という問題です。

性犯罪の「告訴」に関する経緯を見ると,以前は,被害者の告訴は「6か月以内」と定められていました。でも,ためらっているうち期間を過ぎてしまうことがあるので,平成12年の改正で,性犯罪については6か月の期限制限が撤廃されました。そして今回は,告訴そのものを不要にしようという検討がなされています。

性犯罪,とくに強姦罪は,第三者というよりも,会社の同僚,友人,顔見知り等が加害者になることが多い犯罪です。そして,勇気をふるって告訴しても,加害者から迫られ,取り下げてしまうケースがあります。ただ,いったん取り下げてしまうと,法律上,二度と,
告訴できません。こうした点からも,告訴がなくても処罰できるよう,法律を変えるべきだという話になったわけです。

被害者が告訴をためらったり,加害者が圧力をかけて告訴を取り下げさせたりすると,結局処罰されず,逃げおおせてしまう。そんな事態をなくしていこうという今回の改正案。今後の流れに注目していきたいと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇348回テーマ
 「性犯罪の厳罰化」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士