文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹代表弁護士が出演/342回 テーマ「刑事事件 取調べの可視化」編

2015年09月29日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

今朝は『くにまるジャパン』で,「刑事事件 取調べの可視化」というテーマでお話ししてきました。

刑事ドラマでよく見る「取調べ」をビデオに撮影し,違法な取調べが行われていないか確認できるようにするのが「取調べの可視化」です。

先日,衆議院で刑事訴訟法の改正案が可決されましたが,この「取調べの可視化」は,改正案の大きな柱です。その後,参議院では,改正案の成立が見送りされるという報道がありましたが,誰にとってもヒトゴトではない重要な問題なので,ご紹介しました。
たとえば,皆さんも,もし裁判員に選ばれたら,取調べがきちんと行われたかどうか,検討する立場になります。

取調べは,逮捕された容疑者,法律上は「被疑者」と言いますが,被疑者と刑事しかいない密室で行われているため,様々な問題点が指摘されています。
たとえば刑事が,虚偽の自白を強要したり,「自白すれば罪を軽くしてやる」と利益誘導したり。これらはいずれも違法な取調べです。

また,裁判所には,被疑者が話したことばがそのまま伝わる訳ではありません。被疑者の話を,警察や検察が要約した「供述調書」というものが,裁判所に提出されます。
ですから,「そういう言い方を自分はしていない」とか,「自分はこういった筈だ」とか,「そんなことは言っていない」とか,そういったことで水掛け論になり,裁判が長引くという問題も指摘されています。

このような,違法な取り調べがあったか,あるいは,どのような供述をしていたかは,ビデオに撮っていれば一目瞭然です。

ただ,これまでは,どの事件のどの部分を記録するかは,検察官の裁量次第で,義務化されてはいませんでした。
それが改正案では,裁判員制度対象事件および検察官が独自に捜査する事件では,原則として取調べのすべての過程で,録音・録画を義務付ける等と定められています。これにより,捜査する側が,都合のいい部分だけを記録することはできなくなりました。
ただ条文には「原則として」「できる限り」という前置きがあり,例外規定があるので,完全な可視化とは言えない面もあります。

今回は参議院で見送りされる,ということでしたが,今後も「取調べの可視化」に注目していただきたいですね。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇342回テーマ
 「刑事事件 取調べの可視化」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹代表弁護士