文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/336回 テーマ「法定利率と交通事故の賠償」編

2015年08月18日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

今日は文化放送『くにまるジャパン』に出演しました。

お話ししたのは,民法改正による「法定利率の引き下げ」と「交通事故の賠償」の関係です。

120年ぶりの民法改正案では,法定利率が5%から,まず3%,さらに,市場の利率の変動を見ながら,3年ごとに1%刻みで変えていくことになっています。
実は,この影響で,交通事故の損賠賠償金が高くなるケースが出てきそうなのです。

順を追ってご説明します。
まず,交通事故で被害者の方が亡くなられた場合,その方が生きて働いていれば得られたはずの利益,「逸失利益」を,損害として加害者に請求します。
その際,原則として67歳まで働けたと仮定して計算します。たとえば,37歳で亡くなったら,あと30年は働けた,として計算します。
その30年分の収入を,遺族が前倒しで「今」もらうと,30年間,お金を運用して利益を得ることができます。この運用利益は,賠償金から差し引くことになります。そして,この運用利益の計算に法定利率を使います。

現在は法定利率が年5%ですから,逸失利益を計算するには,30年分の年収から「今受け取った賠償金を年5%で30年間運用した利益」を引く必要があります。
この5%が3%に引き下げられると,運用の利益が2%減ります。つまり,総額から引かれる金額が2%分減るので,その分,受け取れる金額は逆に増えるというわけです。

実際に,どれくらいの差が出るかというと,37歳で年収500万の独身男性の場合,現在の法定利率5%で計算すれば,逸失利益は3800万円。一方,3%だと4900万円になります。
数十年分となると,2%の違いでも,かなり差が出ることが分かりますね。

これが,法定利率が引き下げられると,交通事故の損害賠償金が増える仕組みです。

このように民法改正は各方面に大きな影響を与える可能性が高いので,ぜひ注目していただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇336回テーマ
 「法定利率と交通事故の賠償」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士