企業法務コラム

カジノ法案、今国会中の成立危ぶまれる

国際観光産業振興議員連盟による議員立法、通称カジノ法案は衆院内閣委員会で審議される予定だが、16日現在も審議入りの日程すら決まっておらず、今国会中の成立が危ぶまれている。ただ、議案に対する反対意見が多いという訳ではない。政権与党の公明党も賛成だし、同委員会に政府提出の他の法案審議が残っていることが理由らしい。
日本でカジノが実現すれば、400億ドル(約4兆円)規模の潜在性を持つともいわれる。ここ最近は、日本がカジノを合法化し、マカオに次ぐ世界第2のカジノ市場になる可能性があるとの楽観論があふれていた。カジノリゾートはシンガポールなどと同様、低迷する日本の観光業界に火をつける手段だと考えられている。シンガポールでは、2010年に2カ所のリゾートを開設してから観光客数がざっと6割増加した。

※参照
2014年5月16日 ブルームバーグ
カジノ法案、今国会の成立厳しい-衆院内閣委の公明・浜地氏

(評)
しかし、ラスベガス・ストリップ(ラスベガス大通りのカジノ地区)の昨年のカジノ収入が65億ドルだから、400億ドルという金額は少し疑ってかかった方がよさそうだ。ただ、それにしても大きな起爆剤になることは確かだ。
外国では、国民には開放せず、カジノへの入場にパスポートの提示を求める国もある。日本もそれで良いのではないか。それで客足が細るかって?心配ない。何せ隣には、世界でも有数のギャンブル好きの中国人がいるからだ。
米国のカジノ運営企業が日本でのカジノ解禁を見越して動きだしている。しかし、それはどうかなと思う。バブル景気の頃、日本の資産家がラスベガスのホテルを買収。カジノを始めようとした。しかし、地元の組合が認めないとカジノは開業できない。その資産家は、地元に受け入れてもらおうとべガスで金を使いまくったが、バブルが倒産し、せっかく買ったホテルも地元のカジノ業者に安値で叩き売らざるを得なかったからだ。だから、ラスベガスの業者が日本に来て開業するのには心理的な反感がある。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年05月19日
法律事務所ホームワン