企業法務コラム

個人保証の債権買い取り

内閣府が地域経済活性化支援機構法の改正案を今通常国会に提出し、同機構の業務に「特定債権買取業務」を加えることになった。
早期に会社清算や債権に踏み切る場合,地域経済活性化支援機構が経営者の個人保証付き債権を買い取り,最大460万円程度の個人財産や自宅を残す形で私的整理させる。

(評)
中小企業の場合、会社がお金を借りようとすると、経営者が個人保証するよう銀行から求められる。そのため、会社を清算すれば、社長も個人財産を没収される。本来破綻すべき企業も、社長が個人的にも破綻することをおそれため、結局ずるずる事業を継続し、傷口が大きくなるケースが非常に多い。
そうして、いよいよ行き詰り、どうにもならない状態になって、ようやく、弁護士事務所に駆け込むことが何と多いことか。社長も個人資産がある程度残されることになれば、早めに会社を清算しようという風に考えが変わるだろうと期待されている。
全国銀行協会などで構成する民間の研究会は昨年12月,一定の私財を残す私的整理のガイドラインを作成した。99万~460万円程度の現金や華美でない自宅の保有も容認。今年2月から金融機関がガイドラインに沿って私的整理を実施出来る体制を整えたが,今のところ広がっていない。果たしてこの制度、どこまで伸びるのか、それとも下火になるかです。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年03月07日
法律事務所ホームワン