企業法務コラム

北の達人コーポレーション 中小企業IT経営力大賞を受賞

経済産業省では、2月6日、優れたIT経営を実現し、かつ、他の中小企業がIT経営に取り組む際に参考となるような中小企業等を表彰する「中小企業IT経営力大賞」の2014年の結果発表を行った。応募のあった216件の中から、大賞(経済産業大臣賞)となったのは3件。そのうちの一つが「株式会社北の達人コーポレーション」。授賞理由は「徹底した消費者モニタリングとマーケットリサーチによるバックデータから、LTV(顧客生涯価値)分析を行い、売れ行き予測を可能とすることで、ニッチマーケットでの「売れる商品」のみを開発。高品質と少数アイテム(8品目)に特化した販売方式により、「専門店」ならではのアフターフォローを充実させ、高いリピート率を誇る。また、オリジナリティを追及(顧客満足度の向上、ノウハウの蓄積など)するためサイト運営の内製化を図るとともに、売上げ増に伴う物流業務の負担軽減のため商品毎の印刷物の一括印刷システムを構築している。」。

※参照
経済産業省ニュースリリース
「ITを使った攻めの経営戦略「中小企業IT経営力大賞2014」受賞者を決定しました」
http://www.meti.go.jp/press/2013/02/20140206002/20140206002.html


(評)
これだけでは分からないので、同社のHPを見たところ、この会社が、失敗を糧に、事業を磨きあげて行った過程が良くわかった。
木下勝寿社長はリクルートに5年勤務した後独立した、「元リク」。日用品販売業を起業し、独立直後の1年間は順風満帆だったが、2年目から売り上げは下降し、資金も枯渇し、廃業。木下社長は肉体労働をしながらも、再度起業。当時急速に普及し始めたインターネットに着眼し、北海道特産品のインターネット通販を開始。1つ1つの商品に、手作りの「食べ方虎の巻」を同封したり、商品を発送するごとに宅配便の伝票番号お知らせメールを送ったり、といった工夫を重ね、ついには「日本オンラインショッピング大賞」を受賞。
しかし、新興のライバル企業からの徹底したパクリにあい、売上がみるみる落ちて行く。それでもくじけず、次いで「足の折れたカニ、端っこの切れたタラコ」などの「わけありグルメ専門サイト」をスタートさせると、またブレイク。それがテレビに紹介され、有名になったのが仇となり、1年後には大手企業も含めて、何十という「わけありグルメ」サイトが乱立し、またまた売り上げは急減した。次いで商品化したのが、北海道の産品を使用して作るオリゴ糖商品。大学の教授や原料メーカーの研究者とも連携、オリゴ糖とビフィズス菌の種類ごとの相性に着目した新商品「カイテキオリゴ」を開発。健康管理士を中心とした専門的なカスタマーサポート部隊を作り、購入後も健康相談等のアフターフォローを実施、リピーターを確固たるものにした。

※参照
北の達人コーポレーション ホームページ「誕生物語」
http://www.kitanotatsujin.com/birth/story1.php

参入障壁の低い分野でいくら知名度を高めても、やがては過当競争に巻き込まれる。ライバルが簡単には真似できない商品を磨きあげて行くことの大切さがここに表れている気がする。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年02月18日
法律事務所ホームワン