企業法務コラム

不動産取引6割増

ドイツ証券が日本の商業用不動産の取引額を集計した。13年の取引額は前年比64%増の3兆9643億円で、6年ぶりの高水準を記録した。
取引が最も活発だったのはオフィスで、82%増の1兆8808億円になった。三鬼商事(東京・中央)によると、東京都心5区のオフィスビル空室率は昨年12月時点で7.3%と、1年半前のピーク時から2.1ポイント下がった。
物流施設も80%増の5603億円と伸び、昨年7月時点の基準地価は三大都市圏(全用途)で5年ぶりに上昇に転じた。

※参照
2014年2月5日 日本経済新聞
「不動産取引6割増 13年、6年ぶり高水準に」

(評)
13年、J-REITは6件が上場、金額は4524億円だった。06年の12件、6763億円には届かないが、活況を呈していることは間違いない。既存のREITも、物流やオフィス、商業施設など景気回復の恩恵を受けやすい物件を投資対象とした投資法人による増資が相次いだ。居住用物件に比べ、オフィス物件は、賃料、空室率、取引量とも、景気に大きく左右される。
最近、不動産取引で注目を集めているのが物流施設だ。ネット販売の増加で、大型物流設備の需要が増しているからだ。都市部のインター近く、広大で、道路付けが良い土地が物色されている。実際、過去最大のJ-REIT上場となったのは、7月に登場した物流・商業施設特化型の野村不動産マスターファンド投資法人で1751億円。物流不動産の所有・運営・開発の米大手プロロジスは、日本プロロジスリート投資法人が2月に上場。同投資法人は6月にも771億円、12月にも310億円)と年内に3回の公募増資を実施している。
J-REITの13年12月6日時点でのIPOと増資の各分野別シェアは次の通りとなっている。物流のウェイトが、いかに大きくなっているかが分かるだろう。
物流施設22%、オフィス16%、商業施設15%、物流+商業15%、住居13%、オフィス+住居8%。

※参照
ロイター13年12月24日
「上昇気流の株式資本市場:J─REITなどアベノミクス効果鮮明に」

なお、2014年は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がJ-REITへの投資を開始するため、市場の期待も大きい。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年02月17日
法律事務所ホームワン