企業法務コラム

厚労省、パワハラ対策ハンドブックを公表

厚労省は、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた周知・徹底のためにパンフレット、リーフレット、ポスターを作成した。同省運営のサイト「明るい職場応援団」で公表されている。
パワハラの定義や態様を分かりやすく説明するとともに、会社としてどういう取り組み方をすべきかについても触れている。コンパクトに良くまとまっているので、職場での研修材料に活用されたい。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000024281.html

(評)
パワハラというと「職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に、人格と尊厳を傷つける言動を行い、就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること」という、㈱クオレ・シー・キューブ代表岡田康子氏が提唱した定義が一般的だったが、岡田氏も委員として参加した厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」では、新たに、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義づけられた。同会議ではパワハラの態様として次の6つをあげている。

(1)暴行・傷害(身体的な攻撃)
(2)脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
(3)隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
(4)業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
(5)業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
(6)私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

私は、管理職に対する社内研修では「こういう行為はパワハラになる」というだけでなく、「こういう指導をすれば部下は伸びる」という点もとりあげるべきだろう。
「パワハラ以外に有効な指導方法」を知らないからこそパワハラが起こるのであって、「パワハラ以外にこうした指導方法がある」ということを学ぶだけで、パワハラは大きく減ると考えるからだ。そちらの研修の方が楽しいだろう。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年10月01日
法律事務所ホームワン