企業法務コラム

トンネル劣化検査で活躍する中小企業

国交省道路局の平成25年8月21日付発表によると、道路トンネルの内壁のコンクリートのうき・はく離を検知する新技術として、以下の5件の新技術が選考された。選考された新技術については、直轄国道における点検現場において試行され、採否が決められる。

  走行式トンネル壁面うき・はく離疑義箇所点検システム
  HIVIDAS(ヒビダス)
  画像から自動抽出したクラック分析による浮き・剥離の検知
  走行型高速3Dトンネル点検システム MIMM(ミーム)
  遠隔計測技術を活用した覆工コンクリートのうき・はく離検査

(評)
道路トンネルはの総延長は現在3000kmを超えている。多くが高度成長時代に建設されており、道路トンネルの維持管理が喫緊の課題だ。維持管理は、点検・調査、健全度評価、対策の3つのプロセスで構成され、今回採用された試行新技術は点検に関するもの。点検は、内壁コンクリートのクラックについては、光学機器を使っての自動化が進んでいるが、浮き・はく離については、現在も人力による打音検査が基本となっている。
それぞれの技術の事業者名が明らかではないが、MIMMは計測検査株式会社という福岡市内の資本金 3000万円、従業員数89名の中小企業だ。この技術は何度かマスコミに取り上げられているが、こういう中小企業の活躍は頼もしい。
ところで、自動化技術は、川下のプロセスでも必要だ。健全度評価は、専門技術者の経験的判断が基本になっているが、こうした点検技術の自動化が進めば、この結果得られる数値的情報を使った、健全度評価システムの開発にめどもつくだろう。その先には対策工事の自動化も求められる。
また、維持管理の自動化が進めば、そこからさらに川上に遡り、設計・施工の段階においても維持管理を前提として取り組みが可能となる。トンネル完成時の情報の記録・保存なども、目的が明確になることにより、定形化が進むだろう。
米国でもこうしたインフラの維持管理は大きな課題となっており、こうした技術開発が進めば、インフラ輸出の大きな柱になるかもしれない。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年08月26日
法律事務所ホームワン