企業法務コラム

コンパクト・シティ構想 中山間地域等直接支払制度との整合性は?

国土交通省の都市再構築戦略検討委員会は、7月11日の会合で中間とりまとめが行われた。注目ポイントは、地方都市の今後の都市構造の有りよう。
拡大した市街地に高齢者を中心にした住民が点在して居住することになり、生活機能の低下、地域経済・活力の衰退のおそれがあるとの問題認識が出発点にある。
これを解消するため、住民を市街中心に集住させ、都市機能も中心地に集約する。

(評)
今後全国で高齢化が急速に進むことになる。これまでは、過疎地域にも道路を整備し、住民サービスを隅々まで提供してきたが、このままだと財政が破綻する恐れがある。住民を市の中心部に集住させれば、維持整備すべき道路も減り、公共サービスも効率化できる、という訳だ。コンパクト・シティという呼び方もされている。
富山市の都市構想は、団子と串で表現される。地域ごとに中心部を整備し、公的サービス、住民を集中し、そうしてできた団子を、鉄道等の公共交通機関でつないでいく(串)、そういったイメージだ。
幸か不幸か、地方都市は中心部といえども空き家が急増している。地方から入居するだけの住スペースは十分にあるのだ。税制、金融制度を工夫し、民間事業者に空き家の有効活用事業、住民の住み替えを後押しして行くことが想定されている。
そうなると中山間地域等直接支払制度との整合性が問われてくる。
これは、過疎法等地域振興8法(特定農山村法、山村振興法、過疎法、半島振興法、離島振興法、沖縄振興法、奄美群島法、小笠原諸島法)で指定された条件不利地域内の傾斜農用地等において、集落協定等に基づき5年以上継続して農業生産活動等を行う農業者に対し行われる交付金制度。交付を受けるには、農家が集落協定などを結び、農業生産活動等を5年間以上継続して行う必要がある。
平成25年度予算では、約26億円増の約285億円が予算付けされている。
しかし、こうした限界集落で、新住民は期待できない。高齢化が進めば進むほど、協定締結も難しくなるし、協定の目標も達成も見込めなくなる。耕作地の維持拡大という政策目的は非現実的だ。要は「死ぬまでこの土地を離れたくない。」という住民のニーズがあっての制度で、農業振興は建前にすぎない。この制度が続く限り、道路の整備、行政サービスの提供は続くので、行政レベルでは交付金を上回る負担が生じることになる。生産世代が減り続け地方、国とも財政が厳しくなる中、いつまでこの政策を続けて行くのか、議論があってもいいかもしれない。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年07月17日
法律事務所ホームワン