企業法務コラム

中国、輸出減 水増しを是正

中国の税関当局が10日発表した6月の貿易統計によると、輸出は前年同月比3・1%減の1743億ドル(約17兆6000億円)で、5月の増減率(前年同月比1・0%増)より悪化した。
輸出の減少は、春節(旧正月)時期の要因で落ち込んだ2012年1月以来、1年5か月ぶりとなる。輸出が減少したのは、欧州の需要低迷や、人民元高の進行、労働賃金の高騰などが背景にある。
6月の輸入は、前年同月比0・7%減の1472億ドル(約14兆8600億円)と、2か月連続の減少となり、内需の弱さも深刻だ。
輸出から輸入を差し引いた6月の貿易収支は、271億ドル(約2兆7300億円)の黒字で、3か月連続の黒字となった。

※参照
2013年7月10日 日本経済新聞
中国、6月輸出3.1%減 17カ月ぶりマイナス

(評)
ここまで輸出額が前年比で減少したのは、輸出代金名目で投機資金(熱銭=ホット・マネー)が流入しないように、政府が内容虚偽の文書による輸出を集中的に取り締まったことによる影響が大きい。これまでの輸出金額は大幅に水増しされていたということだ。
政府がここまでの取り締まりをした理由は、一つには資産バブルの抑止もあるが、さらには香港の貿易統計による水増しの発覚がある。香港政府の統計では、3月の本土からの輸入額が前年同月比13.8%増だったのに対し、中国政府の統計によると、対香港輸出額は同92.9%も急増した。このため香港紙もこの矛盾を追及。さすがに政府も重い腰を上げざるを得なかった。現政権も、水増しは前政権の失点でもあるがゆえに、是正に乗り出し易いという事情もあったであろう。
では、水増し分を除いた場合どうなるのかだが、算出のしようがないので、検討のしようがない。ただ、中国は5月の輸出が1827億ドルだから、前月比で84億ドル、4.6%のマイナスになる。
日本経済もようやく上向いてきたところに、中国リスクが重くのしかかっている。企業の設備投資意欲に水を差さないか心配だ。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年07月11日
法律事務所ホームワン