企業法務コラム

13年予算 公共事業に大型支出

2013年度予算が15日成立した。野党が多数の参院で否決され、両院協議会も不調となったため、憲法第60条第2項の衆院優越規定により成立した。
13年度の一般会計総額は92兆6115億円で、過去最大の歳出規模。公共事業関連費は前年度当初比15・6%増の5兆2853億円。緊急経済対策に盛り込んだ公共事業費と合わせると10兆円超に達する。
これに加えて、今年2月成立の緊急経済対策10兆3000億円も、4~6月に事業の92・6%が実施される。このうち公共事業だけで過半の5兆2000億円を占める。

(評)
アベノミクスは、大胆な金融政策・機動的な財政政策・民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢からなる。
「大胆な金融政策」は既に黒田日銀により、異次元金融緩和として行われているが、経済押し上げ効果が表れるのは今年末くらいになる。その前に即効性のある第2の矢「機動的な財政政策」を放つ必要があった。次いで放たれる予定の矢が第三の成長戦略だ。金融政策は日銀の、財政政策は政府の腹が決まれば、すぐ実行できるが、難易度が高いのは成長戦略である。要は規制緩和であり、霞が関等の既得権益を崩す必要がある。しかし、この矢がうまく放たれないと、アベノミクスは世界の信任を失うし、長期金利もさらに上昇しかねない。
それとミクロな話になるが、近年公共工事が減り続け、建設業者がリストラを進めた結果、建設労働者が著しく不足しているのが現状だ。急には人員補充が追い付かない。金はあるが、人がいない。この点も心配だ。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年05月20日
法律事務所ホームワン