企業法務コラム

地価公示のあり方検討会 現状維持で終わる

5月7日、国交省による「地価公示のあり方に関する検討会」の検討結果が公表された。

※参照
国土交通省ホームページ 地価公示のあり方に関する検討会
http://tochi.mlit.go.jp/kentou-bunseki/chikakouji-arikatakentou

(評)
大きな論点は次の通り
①都道府県も年1回地価調査を行っているが、それとは別に国交省が年1回地価調査を行うことは無駄ではないか。
②公示価の調査地点は全国で2万6000か所もあるが多すぎないか
③一つの調査地点を二人の不動産鑑定士が調べるのは無駄ではないか
④マンション用地等の大規模画地に標準地を設定すべきではないか

しかし、検討会での意見はまとまらず、その結果報告書も、現状肯定的な、総花的な、内容の薄いものに終わっている。
すなわち、
①都道府県の調査も地域のニーズを汲み取るために有用性があり、国と違う調査点を選択する必要がある。同じ地域を調査地点に選択している場合もあるが、都市地域では半年ごとに変化を見ることができるため有用である
②各市区町村内において、用途毎に、一定の幅の価格帯で、グループ分けし、各グループごとに1地点を選択する。そうすると合計31058地点となる。ただ、それについて他の要素も加えて考慮すべき
③二人の鑑定士が判断した方が、精度も高まるし、2人の見込価格に大きな開きが生じた地点を重点的に議論することで効率も高まるので、維持すべき
④マンション用地等の大規模画地も標準地に加える

この議論を真剣にすると、不動産鑑定士の既得権益に切り込むことも必要になったはずだが、それはしないでシャンシャンになったようである。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年05月09日
法律事務所ホームワン