企業法務コラム

TPP交渉参加へ 日本と米・カナダとの2国間協議がTPPに与える影響に注目

TPP交渉参加11カ国が、インドネシア・スラバヤで20日に開いた閣僚級会議で日本の交渉参加が認められた。米国議会の承認を経て、日本の交渉参加が正式に決まる。
TPP交渉参加11カ国のうち、カナダを除く10カ国がすでに日本の交渉参加を支持していた。日本政府は20日、自動車関税などに懸念を抱くカナダとTPP交渉と並行し2国間協議を続けることにしてようやく同意を取り付けた。同様の並行協議は米国とも行う。

(評)
自動車についての日米二国間協議では、米国が輸入車に設けている関税を、TPPの最長期限まで撤廃されないことになったが、他方で日本が輸入する車の安全基準などに関する自動車協議は未決着のまま。先に手形を切る形になった。対カナダでも同様の決着になるだろう。
米国の輸入車に対する関税は乗用車で2.5%、商用車で25%。日本は乗用車輸出が中心。製造業は1%のコスト削減に必死の努力を重ねているため、無視できる数字ではないことは事実。ただ、より心配なのはこの2国間協議がTPP自体に与える影響。
TPPに反対したことで米国カナダは有利な条件を得たが、これを他国がゴネ得と見れば、同様の扱いを求められる可能性もあるのではないか。日本は切り札を早く切り過ぎたのかもしれない(切らざるを得なかったとも言えるが)。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年04月26日
法律事務所ホームワン