企業法務コラム

中小支援が一本化 東京都が東商・東工会と連携

東京都は東京商工会議所(東商)、東京都商工会連合会(東工会)と連携し、都内の中小企業の経営改善に向けた専門家派遣事業を拡大する。2012年度の企業への派遣計画は100社だったが、13年度は150社に拡大する。中小企業診断士などを1社に最高10回派遣し、販路拡大や社内体制の整備といった経営課題の解決に対応する。都はこれまで最高3回派遣するメニューも設けていたが、13年度からは同10回の派遣に一本化される。
また東商は同事業の活用事例集を800部作成し、地域金融機関や中小企業の支援団体に配布を始めた。厳しい経営環境が続く中小企業の支援を強化する。

※参照
2013年4月2日 中小企業基盤整備機構 J-net21
東京都、中小の経営改善へ専門家派遣事業を拡大-東商・都商工連と連携
http://j-net21.smrj.go.jp/watch/news_tyus/entry/20130402-12.html

(評)
こういった企業支援のプログラムが乱立しているため、交通整理が必要だろう。筆者も実際、東商中小企業相談センターに電話で問い合わせて、ようやく、制度の詳細を理解した。
この記事になっている事業は、「企業変革アシストプログラム事業」と、「震災対策緊急エキスパート派遣事業」の2種類があり、両者とも事業主体は東商(中小企業相談センター)及び東工会(同会は後者のみ)で、都が予算全額を補助している。「震災対策緊急エキスパート派遣事業」はエキスパート派遣が3回に限られており、この記事から推察すると、後者は廃止し、前者に一本化することになるのだろう。
この、経営変革アシストプログラム事業。上の記事を見ると、一見、金融円滑化法対策、経営改善計画策定支援関連の制度のように見えるが、そうではない。技術力、企画力のある中小企業の新規事業、事業拡大、海外進出等、積極的経営策に打って出ようとするのを、支援してやろうというのがこの事業である。しかも都の全額補助があるため、企業負担はゼロ。予算も限りあるため、この支援を受けるにはハードルも高いが、やる気のある企業は是非チャレンジしてみてほしい。
実際の相談の流れを説明する。東商中小企業相談センターが窓口。そこで経営改善への支援を相談すると、窓口の判断で別制度である「エキスパートバンク事業」か、「企業変革アシストプログラム事業」を紹介される。後者は、東商が委託する9人のディレクターがコーディネイト業務を行い、コーディネイトの判断で専門家を紹介する。通常3~5年後を想定した「企業変革プラン」の策定を支援するとともに、計画の実行を支援する。
10回の派遣をどういうふうに使うかがポイントとなる。計画支援に3回使い、残りの7回は実行支援に充てることもありうるし、逆に、計画支援に7回使い、残りの3回を実行支援に充てることも可能だ。ただ、年度の制限があるので、年度内に納める必要がある。

※参照
東京都産業労働局 ホームページ
「企業変革アシストプログラム事業」「震災対策緊急エキスパート派遣事業」
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/shoko/chiiki/small.files/endaka.htm

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年04月05日
法律事務所ホームワン