企業法務コラム

「地中」でも送電線談合 電力会社のコスト管理能力の欠如が背景か

東京電力と関西電力が発注する送電線設備工事の談合疑惑で、地下にケーブルを通す「地中送電線」で談合が行われた疑いがあるとして、公正取引委員会は13日、独占禁止法違反(不当な取引制限=カルテル規制)の疑いで関電工、きんでんなど約30社に立ち入り検査を行った。

※参照
2013年3月13日 毎日jp
「<送電線談合>「地中」も 関電工など30社に立ち入り検査」
http://mainichi.jp/select/news/20130313k0000e040198000c.html

(評)
公取委は、昨年11月、架空送電線工事での談合を行った疑いできんでんなど約50社に対し立入調査を行い、現在も審査中であるが、審査の過程で地中送電線についてもカルテル行為が行われていることが発覚したらしい。
独占禁止法第3条は「不当な取引制限」を禁止している。「不当な取引制限」には、「カルテル」と「入札談合」がある。「カルテル」は,同業者複数が相互に連絡を取り合い,本来,各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを共同で取り決める行為である。
電力会社が地域独占企業なため、発注元も納入業者もメンバーが固定していて、元々カルテルが行われ易い環境があったといえる。
しかも日本の電力料金は「総括原価方式」で決まる。必要な原価に、事業報酬を載せて、計算される。総括原価方式で計算する限り、電力会社が赤字になることは絶対ない。このため、仕入れのコストを削減しようというインセンティブが全くは働かない。こうした電力会社のコスト管理能力の欠如も、今回のカルテルを生む土壌になったといえよう。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年03月18日
法律事務所ホームワン